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12/18-24

18日
今年最後と思われるスーツに袖を通す。普段僕は、割と動きやすさで服装を決めている。それで運動をするわけではないが、なんとなくストレッチ性の高いものを選びがちだ。それでいてヒラヒラしたものは好まない。パンツもワイド系は数多く持っていないし、なぜか腕を捲らないと落ち着かない。
スーツに抵抗感はないが、手入れが少し面倒くさい。自分が来ているよりほかの人が着ているのを見る方が、身が固くなる感じがする。

会場には、いつもとは違う空気が漂っていた。それぞれの人が逆光になって地面に導火線を敷き詰めている姿が僕の脳みその表面に映し出した。


19日
後藤正文 著「朝からロック」という本を読んだ。これは、僕の思考や精神的ななにかを構成しているものの一つで、これを勝手にオマージュさせてもらっているのが、今打ち込んでいる日記だ。言葉一つ一つが思考の先に生まれたものだと感じる。数年後、数十年後、もっと先の人たち、子どもたちに託していこうという考えは、そっくりそのまま僕の中に宿った。それは、有形物から無形物。そもそも形があるなしか、わからないようなものもあるのだと思う。拳を上に突き上げたような強固さと、柔らかくなってそっと抱きしめるような自由さが、僕は好きだ。
そっくりの成りきり人間になることだけは注意している。それでも、もうしばらくは、目印の旗になってほしいと願う。


20日
なんやかんやで食べてこなかった次郎系ラーメンをトレーニング後に食べに行く。それではプラスマイナスで意味ないじゃないか!だとか、むしろマイナスだろ!と言われそうだが、そうではないと思う。この社会に無駄なことはないと言う。それは少し違うと思っていて、無駄なことは意図せず存在している。しかし、無駄という緩やかな部分があることで僕たちは動きやすくなっている。僕たち一人ひとりが持ち歩いている民族史は、ページをめくると大体が「無駄」だったりもする。それが僕たちの生活を豊かにしてリズムになっていく重要なスキマなんだと思う。


21日
学校で行われた抽選会に参加した。買い物合計金額によって抽選券がもらえるという仕組みだ。ちょうど模試の申込をしたこともあって、チケットが溜まっていた。友人らも呼んで参加して、相当の数になったが、出てきた玉の色は、白一色であった。
それでも一つになって感情を共有することに特賞以上のエンパシ―を感じ取った。お互いの健闘と願って今年最後の会話になった。


22日
僕の大好きなバント Hollow coves の新作のシングルが発表された。ここ最近は、アルバム制作よりもシングルを多く世に出している。手数が少ないにも関わらず、こんなにも豊かに音が見える彼らの音楽性は、本当にかっこいい。
彼らを知ったのは、高校3年生のとき。日本でよく聞かれていたポップミュージックと比べ、落ち着いたディープな印象だったが、その音からは土の匂いがしたのをよく覚えている。日本での音楽活動は、商業的な側面がよく見られ、僕たちリスナーはそれを望んでいる。それは、業としてやっていくのには仕方がないところが存在する。しかし、それを否定して、インディペンデントバントとして、オーストラリアを中心に活動をしている。
複雑に入り混じったアコースティックとコーラスは、静けさを呼ぶように鳴り響かせている。いつか会いたいと強く願う。


23日
帰り道、多くの人が駅に向かっていた。どうやら、近くでライブかコンサートがあったらしく、その流れにぶつかってしまったらしい。人々は、感情を交換し合いながら会話の音を弾ませていた。道の端っこでは、遠目から見えるコンサート会場を写真に収める人で壁が出来ていた。
みんな、豊かになっている一方、ただ学校の帰り道だった僕はひたすらに空中散歩をしていたに違いない。僕の出す音がかき消される。


24日
チキンを売っている赤と白のツートンカラーの眼鏡かけたおじさんを横目で見て通り過ぎる。店にはお昼にも関わらず、列ができていた。クリスマスを意識せずともクリスマスの文字が頭に浮かび上がってしまう。寒い中でも多くの人が出かけていた。そそくさと間を縫って学校へ向かう。
本当に入って大丈夫かと心配になるくらい人がいなかった。そのせいか、逆に気が散ってしまって作業が思った通りに進まなかった。正直、ここ最近、勉強の進みが良くない。座ってる時間に比例して、だんだんと険悪になっているのが自分でも分かる。社会が豊かなムードになっている中、バランスを取るように僕は、この日を過ぎるのを待つ。
どん底から、未来を見ている。

何かを変えなければならない。転換期に僕はいるんだと思う。



ドタバタ日記 2023年12月25日




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