(美達の蔵出しオススメ)『死ぬな』並木秀之 他、2冊


死ぬな
並木秀之
新潮新書

※以下3編、2015年3月に公開した書評です。ご留意下さい。

不撓不屈、百折不撓という言葉が想起される熱い書でした。

著者は生まれたとき、医者から、「名前をつける必要はない」と言われた人です。生き延びることはないという診断でした。先天性骨髄分裂症という障害を抱えた著者は、医者の見立てに抗うように成長しました。ただ、障害のせいで排泄が自分でコントロールできず、終生、おむつをつけたままで生活するようになったのです。排泄の問題というのは、健常者が考えている以上に大きく、著者は他者に対して遠慮して暮らしていました。しかし、ある時に思い切って打ち明けてから人生が変わったのでした。何度も手術を受けましたが、状況はあまり変わらず、学生時代をすごしています。

障害を持った著者は大学進学を諦めますが、その時の担任が母親に土下座をして進学を頼み込んだのです。卒業後、何度か就職しますが、その時には自らのハンディを逆に利用したり、自分だからこそやれることを喜んでやりました。自分で会社を経営するようになった後、バブル崩壊で財産を失いますが、めげずに再起します。

生きてるだけで人生にはいろいろ起こる、負けてられないというのが、著者の思いであり、本書のテーマです。自分に与えられて境遇・条件をいかしてしぶとく生きるという意味で、元気の出る一冊でした。人は諦めない限り、なんとかなる(する)ものですが、それを再確認できます。

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