見出し画像

(美達の蔵出しオススメ) 143 『モネ、ゴッホ、ピカソも治療した絵のお医者さん 修復家・岩井希久子の仕事』 岩井 希久子(いわい きくこ) 美術出版社


※初期の頃のレビューです。今回、初出です。ご留意下さい。


著者は1955(昭和30)年生まれの絵画修復家です。

油彩など、経年劣化するのは必然なので、このような人がいますが、その仕事は緻密、繊細に加えて、絵画への思いがなければできません。

著者は、名画の治療にかけては世界的に評価されている人でした。

修復ですが、単に色を塗る、というのではなく、それまでの修復によってオリジナリティーが失われている点を考慮しなければならず、どこまで再現するか、というのも技術のかなめでした。

もともと画家志望だったのですが、お父さんに修復の仕事(アルバイト)をすすめられたのが、この道に入ったきっかけです。
本物をじかに見られることが魅力、と語っていました。
技術を学んだのはイギリスですが、かなりのストレスがあったようです。

この仕事、意外だったのは体力勝負ということでした。
ゴッホの「ひまわり」の修復の時には、とうとう入院することになったのですが、退院してから車椅子で作業をしたとあります。

ここから先は

1,361字
書評、偉人伝、小説、時事解説、コメント返信などを週に6本投稿します。面白く、タメになるものをお届けすべく、張り切って書いています。

書評や、その時々のトピックス、政治、国際情勢、歴史、経済などの記事を他ブログ(http://blog.livedoor.jp/mitats…

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?