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安倍さん暗殺をテーマとしたエンタメ小説。読み物としては面白い! 『暗殺』 芝田哲孝(てつたか) 幻冬舎


(8月23日記)

この作品のテーマは、「安倍・元首相の暗殺事件」です。
ちまたでは話題沸騰ふっとうとなっていますが、多くは、安倍さんについての偏見、知識・情報不足によって、「凄い!」と言わせているだけのことです。

たとえ売れるとわかっていても、生前は「安倍さんシンパ」だった幻冬舎の見城けんじょう社長が、このような「安倍さんについて大きな誤解を招く」作品を刊行したことに失望しましたが、逆に、あの人の芯は辣腕らつわん編集者なので、「売れる本!」となれば悪魔に魂を売ってでも刊行するのがプロフェッショナルなのだな、とも解釈しています。

本書、そうした誤った情報、左派メディアの流す、安倍さんについてのウソ情報をベースにしている点を除けば、エンターテインメントとして面白いです。
ここは私らしくフェアな評価ですので、皆さんには本書を読むためのガイドブックとして、このレビューを書きました。

本作品の大きなみきは、安倍さんを暗殺したのは、あの愚劣すぎる山上ではなく別にいる、それは日本の右翼、政治家、宗教家、警察が絡み合った勢力によるもの、というものでした。
これ自体は全くの作り話ではありません。
私の意見は後述します。

まず、本作品で描かれている虚偽、左派メディアのニセ情報について解説しておきましょう。
旧統一教会(以下、教会)と安倍さんの関係を密接だとしていますが逆です。
安倍さんは、まともなメディア、記者、秘書の話で知られているように、深入りしないようにし、さらに教会の商法を取り締まる法律の改正も2度にわたって行っています。

本作品では信者数を60万人として、その票が目的としていましたが、実際は6万人、しかも選挙で動ける「アクティブ」は1万2000人で、これでは基本的に力のある候補者でなければ当選できません。
一つの選挙区に1万2000人ではありません。
考える力のある人なら、これが大した力にならないことがわかるでしょう。

ただし、教会の協力者は選挙に詳しい人が多く、選挙運動のボランティアとしては優秀で「使える!」ので、それで関係していた政治家もいました。
代表的なのは萩生田です。
安倍さん自身は避けていて、秘書らに、「使うな、頼むな」と指示していました。

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