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政治と、その周辺を幅広く知るための一冊! 『日本の政治「解体新書」』 八幡和郎(やわたかずお)小学館新書

(1月28日記)


本書のテーマは、「政治家の世襲、反日と政治、宗教、利権、与野党の長所、短所」など、日本政治を理解するための入門書です。

著者は、元通産省キャリア官僚で、1997年に退官した後は、作家・評論家として活躍しています。
偏りの少ない人で、データや事実についても正確な人です。
通産省は、今の経産省になっています。

目次をざっと紹介すると、

世襲政治家のバカ殿政治とかすみが関官僚の無気力で国家の危機
左派・リベラル野党はなぜ日本だけダメなのか
創価学会・公明党だけが、なぜ成功したのか
旧統一教会の本当の問題は日本で集めた金のつかい道だ
大阪から出発した維新の成功と立ちはだかる壁
安倍政権の通信簿。外交は120点でも内政は75点と思うわけ
医者天国が経済も教育改革もダメにしている
ポスト安倍の日本の世界外交と中国・韓国・北朝鮮・台湾との展望

などとなっていました。

世襲で言えば、2代目、3代目が首相になり始めたのは、1993年に下野|《げや》した宮沢内閣以降のことでした。
羽田はたつとむ、橋本りゅう太郎、小泉純一郎、安倍さん、福田康夫、岸田文雄がいます。
それ以前の戦後の首相は、東京帝国大卒のエリート官僚から政界に出て、登りつめた人が大半です。

そのエリートの流れを破ったのが、尋常じんじょう高等小学校しか出ていない田中角栄でした。
そのため、エリートたちから、さまざまな妨害を受けています。

世襲が多いのは、当選に必要な、「地盤・看板・カバン」が親の代から譲り受けられるからです。
これは、支援組織、知名度、金のことを表しています。
親の政治資金団体を継承すれば、その資産が100億だろうと無税なのです。このシステム、凄いでしょ!

左派・リベラルの章で、著者は共産党を全否定しないものの、存在には批判的です。
全否定しないことに、私は懐疑的ですが。
欧米では共産党が非合法という国もあります。共産主義が、人を幸せにしないどころか、不幸にし、億単位の虐殺を生み出したことは公然の事実です。
機会の平等ではなく、結果の平等というのは、人間の自然の姿、本能とは相いれません。
各国の失敗が、それを示しています。

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