見出し画像

香り高い珈琲と、くちどけ豊かなお菓子。岐南町の洋菓子店「流星」

俳句と暮らす vol.22

今秋オープンしたばかりの「洋菓子と珈琲 流星」

今年9月、岐阜県岐南町のHOCUS POCUS内に、おしゃれな洋菓子屋さんがオープンしました。
お店の名前は「流星」。

「流星」は秋の季語です。
日々いろんなところに季語を見つけ出してはウキウキしている私。
お店の名前を聞いたときの第一印象は「季語だー!」でした(笑)。

今回オープンしたばかりの「流星」さんは、実は各務原市の人気カフェ「喫茶室 山脈」さんの姉妹店なんです。
「山脈」は、犬山城家老の別邸を移築した歴史ある建物で、自家焙煎の珈琲とオリジナルのモンブランが味わえる、落ち着いた雰囲気の喫茶室。
私も何度も訪れている、お気に入りのお店です。

大好きな山脈さんの珈琲と一緒に味わえるお菓子が並ぶと聞いて、さっそく訪れてみました。


珈琲と相性の良い、シンプルな味わいのお菓子たち

白壁に木目の温かみが感じられる、シンプルな店内のまんなかに、キラキラと輝くショーケース。
常時12〜3種ほどの生菓子に、シェフパティシエ自慢の焼き菓子、さらに「山脈」の自家焙煎珈琲やカフェラテ、さらに珈琲豆も並ぶ、テイクアウト専門の洋菓子店です。

定番のお菓子に加えて、季節の果実をふんだんに取り入れた期間限定のお菓子も並びます。
ここで味わえるのは、関東のパティスリーでフランス菓子を極めたシェフパティシエが考える、「珈琲とよく合うお菓子」。

クラシックなフランス菓子のような複雑な味わいというよりも、素材の味わいを最大限に活かしたシンプルな味。
それでいて、伝統的なフランス菓子の手法や考え方もうまく取り入れつつ、パティシエの感性と巧みな技で“流星風”に仕立てた、美しいお菓子が揃っています。

小麦粉やバター、乳製品などの素材選びにとことんこだわり、手間暇を惜しまずつくるお菓子たち。
たとえば、焼き菓子にごろっと入っているセミドライフルーツは既製品ではなく、自家製のものをできる限り使うことで、果実のジューシーさやフレッシュな香りをダイレクトに味わうことができます。

馴染みのある味ながら、どこか新しい発見もあるようなお菓子は、一度食べるとまた食べたくなるような印象強さも。
シンプルな焼き菓子こそ、丁寧な手仕事が味わいを左右します。
ひとくち頬張ったときの感動、そのまま珈琲を口に含んだときの多幸感は、たくさんのこだわりが詰まっているからなんですね。


バニラの爽やかな香りがやさしく広がる「流星」

店名を冠した「流星」は、このお店のスペシャリテ。
ザクザク食感のクランブルをベースに、濃厚なキャラメルガナッシュ、サクッと軽めのダックワーズ、そして主役となるバニラのムースという4層のお菓子です。

ひと口食べた瞬間に、ふわりと広がる芳醇なバニラの香りと、口どけなめらかなムースの優しい甘さ。
バニラの爽やかな甘さを感じながらも、ダックワーズの軽やかさ、濃厚なほろ苦ガナッシュ、ずっしりとした土台の独特の食感のバランスがたまりません。


サクッ&ほろっとくちどけ豊かな「流星ガトーバスク」

もうひとつ、のどかな午後に珈琲と一緒にゆっくり味わいたい焼き菓子があります。
「流星ガトーバスク」です。

ガトーバスクとは、フランスのバスク地方で、17世紀頃から作られている伝統的な焼き菓子。
流星のガトーバスクは、外側はサクッと軽快で、中はしっとり、でもほろほろっと口の中でほどけていくような独特の食感が特徴です。
中心には、口どけなめらかなカスタードクリーム「クレーム・パティシエール」がたっぷりと詰まっています。

発酵バターとアーモンドプードルをたっぷり使った、香り高い「流星ガトーバスク」。
こうしたシンプルなお菓子こそ、シェフパティシエのこだわりと匠の技が発揮されます。

使う小麦粉は「レジャンデール」と「エクリチュール」の2種を合わせたもの。
レジャンデール特有の、小麦の味や香りを最大限に生かしつつ、発酵バターをたっぷり使った芳醇な味わいを目指すために、エクリチュールを混ぜています。
エクリチュールは、油脂分を多く含む生地でもサクサク、ほろっとした食感を叶えることができる粉。この2種の長所を最大限に活かす絶妙な配合で使っているそうです。

流れ星のようにシュッと入ったラインが印象的なガトーバスク

発酵バターの芳醇な香りをダイレクトに楽しみたい、シンプルなガトーバスク。
この製法により、発酵バターをたっぷり入れつつも小麦の味わいも感じられて、サクッ&ほろりと優しい食感に仕上がります。

さらに、ガトーバスクの香りを高めているのが、上質なアーモンドプードル。
生地にももちろん使っていますが、中に入っているクレーム・パティシエールの香りづけにも使っています。

流星のガトーバスクのパティシエールは、比較的水分量が多めで、くちどけなめらかでトロリとした食感。上品なアーモンドの香りがほのかに漂い、生地との相性も抜群です。
ひとくち頬張った瞬間に広がる香り、口の中でほろほろとほどけていくような、独特の食感。そこに絡みつく、甘くてなめらかなクリームが、多幸感を高めてくれます。

もちろん、珈琲との相性も抜群ですよ。

このほかにも、ご紹介したいお菓子がたくさん。
焼き菓子を詰め合わせたギフト「流星群」は、贈りものにもぴったり。
ぜひ、お店に足を運んでその目で、その舌で、味わってみてください。

岐南町のHOCUS POCUSは、自由に使えるテラス席もあるので、購入したお菓子や珈琲をテラスでいただくこともできます。

吹き抜ける風が気持ちの良い秋の昼。
「流星」で、心ほどける至福のおやつタイムを。


暮らしの一句

星とんで指にサブレのひとかけら 麻衣子

【季語解説】星飛ぶ / 流星(秋)
宇宙の塵が大気中に入り込んで摩擦熱で発光する、流れ星。
季節を問わず見られますが、秋の季語です。秋は空気が澄んできて見えやすいことと、流星群が多いことが季語になった所以のようです。
「流れ星」や「流星」のほか、「星飛ぶ」「夜這星」「星流る」といった風流な季語もあります。
今回は、星降る夜に「流星」さんの美味しい焼き菓子をいただきながらの甘い一句でした。

洋菓子と珈琲 流星
岐阜県羽島郡岐南町上印食8-123-1
フォーカスポーカス1階
営業時間:10:00-19:00
定休日:火・水曜日
URL:https://www.instagram.com/kashi_ryusei


この記事が参加している募集