人生を変えた、社労士試験
今から14年前に社会保険労務士試験に合格し、今は社労士法人の代表として仕事をしています。
「人生を変えた」と言っても良いくらい、自分の人生の中で大きなインパクトを与えた、社労士試験の勉強時のことを書いてみました。
社労士試験に合格したのは当時25歳。15年前、第42回社労士試験では20代の合格者は全体の15.6%でした。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000vptc.html
(昨年の第56回社労士試験では20代の合格者が11.8%なので、当時のほうが20代の合格者の割合は高かったようです。)
社労士を目指した理由
社労士を目指した理由は、当時は社会に出て劣等感を感じていたため。
今は、他人と比較する、という感覚は以前よりも少なくなりましたが、20代の頃は、他人と比較して自分自身を測っていたのだと思う。
現在の略歴については『自己紹介』の記事で確認できます。
大学を中退しフリーターをしながら資格予備校で日商簿記2級を取得し、幸運にも地元の大手造船・海運グループの関連会社に採用されましたが、大学中退の過去は消すことができず、何の実績も経験もない若者の給与額はそれまでの経歴である学歴の社会的評価によって決まっていた。
その時の給与額は当時の課長が決めていて、主任からは「みたに君の給与は高すぎるよ。普通ならそんな高く評価されないよ。」と、どんな話の中で、その会話があったのかは覚えてないけど、悔しかったのは今でも覚えている。
決して高いとは言えない給与額でしたが、高すぎるといわれ、自分の価値が”未来”よりも”過去”を基準に評価さていることを知った。
(その意味では、当時の課長は未来を見て評価してくれていたのかもしれない。)
過去は変えられないけど、未来は変えることができる。
そんな思いで学歴以外で、評価されるものとして資格の勉強をすることにした。
独立可能な国家資格を選択したのは、その国家資格で独立を考えていたわけではなく、”独立できるほどの国家資格”の評価の高さを狙ったものでした。なので当時は、将来自分が社会保険労務士として開業するなんて、思ってもいなかった。
社労士試験の受験資格
社労士試験を受験しようと思うと、ざっくり言えば学歴と実務経験、資格試験の合格のいずれかが必要になります。
https://www.sharosi-siken.or.jp/exam/
税理士も同様に学歴や実務経験などが必要になります。
同じ国家資格でも、司法書士や行政書士、中小企業診断士は、受験資格が不要なことが知られています。
社会保険労務士の受験資格のうち、学歴には卒業だけでなく「大学における修得単位数」というものがあります。
大学中退であっても、62単位以上の修得があれば受験資格があります。
大学を中退したのが2学年の終わり頃で、過去の資料を確認すると66単位を習得してたので、何とか受験資格を持っていた。
試験勉強
受験資格を満たし、試験を受ける環境は整いました。
社労士試験を受けることを決めた当時は23歳、造船・海運グループの関連会社に入社して2年が過ぎたあたり。
仕事にはそれなりに慣れ、ある程度自分で仕事の進め具合が読めるようになったタイミングだったと思う。
とは言っても、法律など学んだこともなく、そもそも通っていた大学の学部の偏差値も40にも満たず、しっかりと勉強をしたことが無い自分が、どのように勉強したらよいかもわからず、とりあえず日商簿記で通った資格予備校に通うことにした。
その資格予備校に「総合本科生」というコースがあり、社労士試験の前年の10月頃に通い始めたと記憶しています。
通っていた資格予備校は自宅から車で30分ほどの場所にあり、平日の夜の講座を受講。
資格予備校に通ったのは、独学だと言葉の意味を理解することが難しいだろうと予想されたことに加え、まともに勉強したことのない自分は、勉強することから学ばなければならないと思い、自分の体を勉強のペースに慣らせるために定期的に講座が開かれる通学コースに通っていた。
今では当たり前に理解できる、「初日」や「常時」、「属する日の前月末日」などの独特な表現は、初学者には理解できず、理解できなかった点を講師に都度確認できる環境は助かりました。
また、講師は開業社労士でもあり、リアルな実務の話は興味を持って講座に集中することができた点も良かった。
日々の試験勉強
社労士試験の合格には、今でも800~1,000時間の勉強が必要と言われています。
当時の自分もその時間を目標に試験勉強を開始。
平日に週2日、資格予備校の教室に通い、19時頃から21時過ぎまで講座を受講して帰宅する日々。
講座のない日には自宅で2~3時間程度、予備校での受講時間も入れて週に20時間、試験までに800時間を目標にExcelで勉強予定表を作成し、勉強時間をつけることで、自分のモチベーションを維持する工夫をしていた。
勉強当初はモチベーションも維持できており、定期的に実施される資格予備校でのミニテストでも成績はランキングの上位にあり手ごたえを感じていた。しかしながら、試験まで10か月に及ぶ勉強はモチベーションが維持できず、徐々に成績は低下し、ミニテストでもいつの間にか圏外となってしまっていた。その頃は勉強開始から半年ほど。
きっと、予備校に通っていなければ、自分は勉強を途中でやめていたのではないかと思う。
この頃、当時付き合っていた彼女にも振られ、何のために頑張っているのかも見失いかけていた。
20代前半の若者にとって、この失恋はかなりダメージが大きかった。
ゴールデンウイークが過ぎてから8月の試験までは、”目標に向けて”ではなく800時間の勉強のノルマをこなすため、別れた彼女のことを忘れるために勉強していたように思う。
今思えば、目標である『社労士試験の合格』のための勉強ではなく、『800時間の勉強をする(俺ってかっこいい)』ことが、勉強の目的になってしまっていたのだと思う。
8月の社労士試験結果
正直、試験後の合格の手ごたえはなく、予想はしていたが10か月に及ぶ試験勉強の結果、『不合格』の文字が書かれたハガキ見たときはショックだった。
ちなみに、社労士試験の午後の試験、最後まで席にいれば問題用紙を持ち帰れることを知ったのは15年後で、合格発表まで自己採点をするという方法を知らなかった。
なので、自宅に試験結果のハガキが届いて1年目の試験が終わったことを確認した。
次、どうする?
正直、かなり悩んだ。
1年で合格できる、手の届くギリギリの国家資格ということで受験した結果、1年で合格できず・・・。
大幅に点が足りてなかったら、もう受験してなかったと思うが、社労士試験の結果は、1点足りず。
この1点に、たくさんの人が集中していて、合格点にしてしまうと合格率が高くなりすぎると聞いたことがある。
なので、社労士試験受験者で『1点足りなかった』はよく聞く話でもある。
あと1点、だったらもう一度受験して、次ダメだったら諦めようと次年度の受験を決めた瞬間でした。
2回目の受験については、次で書こうと思います。
社労士の多様性がわかるWEBメディア『労務の灯台』にも、現役社労士の勉強法という記事のインタビューをしていただきました。
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