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『悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-』 第1話「魔女狩り」
1455年・ワラキア、医学を志し、高度な科学的知識を求めて訪ねてきた女性・リサを気に入ったドラキュラ。やがて二人は結ばれるが、それから20年後にリサはトゥルゴヴィシュテ教会に捕らえられ、魔女として火あぶりにされる。怒りに燃えるドラキュラは、ワラキアの人間の皆殺しを宣言。一年後、魔物たちがトゥルゴヴィシュテを襲う……
先日こんな記事を書いておきながら、まだちゃんと紹介していなかった、ということで、これからNetflixのアニメ『悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-』を一話ずつレビューします。
物語の内容はゲームの『悪魔城伝説』(と『闇の呪印』)をベースとしたものですが、この第1話ではドラキュラが何故人間を滅ぼそうと決意するに至ったかが描かれます。
物語の始まりは、『悪魔城伝説』の舞台となる1476年(これは史実でのドラキュラ=ヴラド・ツェペシュの没年でもあります)から遡ること21年、ドラキュラとその妻・リサの出会いから始まります。
ゲーム『月下の夜想曲』では慈愛に満ちた女性として描かれていましたが、ここでは飛んできたコウモリをいきなりナイフで撃破したり、ドラキュラに会う前にニンニクを食べてきたり、結構威勢のよい印象の彼女。それはドラキュラと対面しても変わらず、吸血鬼、串刺し公として恐れられるドラキュラに対して全く怖じるところを見せず、医学の進歩のためにその科学技術を見せて! あと引きこもりは良くないから自分の足で旅しなさい! と言い放ちます。
これにはさしものドラキュラも、「おもしれー女……」とばかりに興味を惹かれ、いつしか二人は結ばれ、ドラキュラも人間に対して共存する姿勢だったのですが……
それから20年後、トゥルゴヴィシュテの司教たちに捕らえられたリサは、無惨にも異端者として火あぶりに(出た、医者を火あぶりにする中世教会! 『辺獄のシュヴェスタ』でも見たやつ!)。リサは死を目前としても、「彼らは自分たちが何をしているかわからないから許してあげて!」とドラキュラに訴えますが、主教はもちろん、街の人々はこれを魔女の戯言と嘲笑います。
しかもリサの言葉は全くドラキュラには届いておらず、以前の妻の言葉に従って徒歩で旅に出ていた彼が帰ってみれば、リサに世話になったという老婦人のみが死を悼んでいる始末。怒りに燃えるドラキュラは、見逃してやるからすぐにワラキアを出ろと老婦人に言い残してその場を去るのでした。
そしてトゥルゴヴィシュテの人々の前に巨大な幻影となって現れたドラキュラは、一年後の大虐殺を宣言。さっきはすぐにやるようなことを言っていたのに――と思えば、一年かけて地獄の軍勢を召喚するという理由がありました。
しかしそれを聞いていた彼の息子は、人間全てを敵とすることはやめろと、力尽くでもこれを止めようとするのですが……
と、意外にも「これはどう考えても人間が悪いよね?」と思わされる展開から始まった本作。ゲームの方の印象では、世界征服しようとするドラキュラを、リサがなんとか押さえていたのかな、と思っていましたが、それとは全く異なる本作の描写は、なかなか意外ですが納得できるところもあります。
面白いのは、火刑の際のリサの祈りや、老婦人へのドラキュラの言葉のように、随所に聖書を思わせる(さらに踏み込んでいえばドラキュラを神に擬える)視点があることで、この辺りは今後も見られるのでしょうか。
さて、物語はついに一年後の1476年となり、ドラキュラの警告を全く意に介していなかった心が強えトゥルゴヴィシュテの皆さんを、地獄の魔物たちがゴアゴアと大虐殺。しかし一つの街で収まることなく、軍勢はグレシットの街へ向かいます。
それを目撃した途中の村の村人たち(酒場で馬鹿みたいに下品な冗談を飛ばしている)の文句の矛先が、ベルモンド家を含む貴族たちに向けられたところで、同じ酒場にいたトレバーは――という場面で次回に続きます。
ようやくラストに登場したトレバー(ゲームではラルフ)は、既に目元に傷があるようですが、この辺りは次回以降に語られるのでしょう。
ちょっと混乱させられるのは、声優が、ゲームの方ではアルカードをほぼ一貫して担当している置鮎龍太郎氏であることですが、これはまあ仕方ない。ちなみにそれでは本作のアルカードはといえば三木眞一郎氏なので、ファンとしては滅茶苦茶期待しているところです。
ゲームの方の紹介記事はこちらとか。