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娘が習い事をやめたい理由の"ガマン"を察した

最新ヒット曲のBGMを左から右に流して見下ろすのは25メートルプール。
沢山の子供たちがひしめくその一角で、娘は順番に水に潜っている。
いつものスイミングスクールの風景。

先日、娘が年中から通っているスイミングをやめたいと言い出した。

発達障害、運動が苦手とすこしハンデがある娘は、
スイミングのテストになかなか合格できずにいた。
それでも、幼児が多いコースからやっと本格的な泳ぎのトレーニングに入るコースに上がることができた。

やめたいと言い出した理由のまず一つは知っている。
ダンススクールの体験をしたからだ。
運動会で「推しの子」を踊ってから、家でもたまに踊っていた。
「唱」もYouTubeを観ながら自由に踊っていた。
正直、身体のぎこちなさは否めない。
けれど、身体を整えるなら楽しい方がいいかなとダンススクールの体験を数件させた。
そこには、ダンスにハマりそうならば昇級式のスイミングからダンスに変えようかなという親心が働いていた。

けれど、見学室から見るに、スイミングの今のコースはそつなくこなしているように見える。
だから、ここでやめて良いものか…と私は最近勝手に逡巡していたのだ。

やめたい理由を尋ねると、
「あのね、潜るのがきついの。ガマンしてる」
とたどたどしい口調で、それでもすぐに返ってきた。

そうか…親がのんびり上から見下ろしているだけの状況と本人のキツさは違うよう。
ガマンして練習したらできるようになるかもしれないけど、彼女はたぶん周りが思うより怖がっている。
人にツラさを訴えることが苦手で毎回ガマンしているのだ。

今日もきっとガマンしながら頑張って水の中で呼吸する練習をしている。
プールから上がってはまた入り、順繰りに何度もこなしていた。

なんとなく、彼女がやめたい理由がもう一つ見えてきた。

つまらなさそう。

順番に1人ずつ泳いでいくだけ。
幼児が多かったコースでは他の子と横並びになって、時々隣同士で肩をつつき合っていた。
なんというか、キャッキャしていた。

今はキャッキャしていない。
無の表情でビート板を抱えて、他の子の後ろに並ぶ。
お友だちと一緒にいう感覚がなくなってしまった。
だから、すっかりダンスに気持ちが移ってしまったのか。

ダンスの体験で娘は、初見の子たちと一緒に、初見のダンスを訳もわからず踊って、ニコニコしていた。

彼女は自閉症だけど、根は人と一緒にいて楽しく過ごすことが好きなのだ。
特性がたまに出てしまうのは仕方がない。
学校ではおとなしさを発揮する。
でも、本当は人と交わることを求めているのだろう。
本当はお調子者の明るい子。

娘は今日も頑張った。
でも、帰宅後の夕飯時に「顔つけが上手くできるようになってやめる」と言った。
今日は割とできるようになったらしい。
達成感を持ってやめることにしたようだ。

スイミングには、当初の目的だった体力づくりのお世話になった。
スイミングをやめたら、今度ちゃんとダンススクールを決めようか。


_終わり

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