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【親の介護】認知症になった親の為の「迷惑電話撃退」方法
迷惑電話は詐欺の入り口
世の中には年寄りを食い物にする悪い奴らが跋扈しているらしい。自分の住む自治体でも役所からの情報メールで、毎週のように地域のお年寄り宅に怪しげな電話があったという情報が流れてくる。
内容は、「医療費の還付金があります」「緑色の封筒が届いていませんか?」と言ってきて、その後に還付金の手続きと称してATMの操作で振込を指示してくるという流れのようだ。
いわゆる『還付金詐欺』というやつだ。
幸いそのほとんどは未遂で終わっているようだが、そのような類の情報メールに遭遇するたびに、『オレオレ詐欺』の類の電話は、遠いどこかの地で起きているニュースの中の話などではなく、案外と身近なところで起きている事件でもあることを実感する。
その『オレオレ詐欺』も最近では呼び方が変わって、『母さん助けて詐欺』と呼ばれているらしい。
これは察するに、自分の親に電話して「あーオレだけど」などという人はドラマの中にしか存在せず、実際の詐欺犯もそのような発言をしないことから実態に合わなくて呼称を変更したのだろう。
もっとも自分の場合は、「母さん」も言わないが(笑)。
『母さん助けて詐欺』や前述の『還付金詐欺』のように明らかな詐欺の被害者になる確率は、そうそう多くはないかもしれない。
しかし、『悪徳な買い取り業者』による詐欺まがいの商売の標的になる可能性は、自分の見聞きする範囲だけでも無視できないリスクとなってきているように感じている。
こちらの具体的な手口は、もったいなくて処分に困っていた不要な和服を買い取ってくれるおいしい話を持ち掛けておいて、家に上がり込んだとたん和服には目もくれずに、頼んでもいない形見の貴金属類を漁り、ただ同然の安値で買い叩いて去っていく犯行だ。
子ども世代が気づいたときには、クーリングオフ期間も終了していて、どうにもならない場合が多いらしい。
そのような被害の入り口は、固定電話への一本の不審電話で始まることが多い。
これは近年、若年層世帯ではそもそも固定電話を設置していない家庭が多いのに対して、高齢者世帯ではまだまだ固定電話が主な通信手段となっているためだ。
要するに、固定電話にランダムに電話すれば高齢者にあたる確率が高いため、『悪徳な買い取り業者』にとって固定電話は、効率のよいターゲットへのアクセス手段となってしまっているのだ。
このような社会情勢において、認知症で判断能力が低下してきている一人暮らしの親を持つ子供にとっては、そのような『悪徳な買い取り業者』から親を守る手段を講じるのも、『親の介護』の一環であると考えられる。
迷惑電話防止の第一歩
迷惑電話の一番手っ取り早い対策方法は、固定電話の契約を解約してしまうことだ。
しかし、高齢者世帯の固定電話の解約はあまりお勧めできない。
理由は、仮に携帯電話を利用していなければ、他に連絡手段がなくなってしまうからだ。これは別の意味でまずい。
携帯電話を利用していた場合でも、高齢者の親族や知り合いからの連絡手段は固定電話がメインであり、解約すると不都合が生じてしまう。
また、高齢者にとって一番馴染みのある昔からの連絡手段は固定電話であり、認知症が進んで携帯電話が使えなくなったとしても、固定電話はまだ使えている可能性が高い。
従って、固定電話を使い続ける前提で、迷惑電話対策を考える必要があるのだ。
NTT東日本が提供してる迷惑電話防止サービスとして、『ナンバー・ディスプレイ』と『ナンバー・リクエスト』の2つのサービスが存在する。
ナンバー・ディスプレイ:
電話に出る前に、かけてきた相手の電話番号が、電話機などのディスプレイに表示されるサービスです。
ナンバー・リクエスト:
電話番号を「通知しない」でかけてきた相手に、「電話番号を通知してかけ直すよう」自動音声で伝えるサービスです。
この2つのサービスを申し込むことで、相手の電話番号が電話機に表示され、かつ、非通知での着信はそもそも呼び出し音が鳴らなくなる。
基本的には有料のオプションサービスであるが、ありがたいことに、70歳以上の高齢者の場合は、無料で利用が可能となっている。
それだけ迷惑電話被害が深刻な社会問題化しているということなのだろう。
2023年4月17日以降に「ナンバー・ディスプレイ」および「ナンバー・リクエスト」を新規でお申し込み頂いた際に、契約者が70歳以上である旨または70歳以上の方と同居している旨をお申し出頂いた場合、「ナンバー・ディスプレイ」および「ナンバー・リクエスト」の月額利用料および工事費を無料とします。
このサービスを申し込んだ上で、固定電話を常時留守番電話モードにしておき、相手の話し声を聞いてから電話に出るようにすれば、だいぶ安心感が違ってくる。
ただし、この対策で迷惑電話自体が無くなるわけではない。
実際、『ナンバー・ディスプレイ』と『ナンバー・リクエスト』の2つのサービスを申し込んだ後の自分の実家の電話にも引き続き迷惑電話の着信が確認できた。
幸い電話に出ることはなかったようなので、その後の被害に発展することはなかったが。
最近ではインターネットで着信電話番号を検索すると、怪しげな電話番号は口コミ情報でヒットすることが多い。
調べたところ、電話の発信者は下記であった。
やたらしつこい強引な営業をしてくる〇〇不動産屋
名乗らずに、ため口でこちらの情報を聞いてくる△△企画
ろくでもない電話なので、すぐに着信拒否に設定した。
このように、『ナンバー・ディスプレイ』と『ナンバー・リクエスト』の2つのサービスは、発信元の電話番号がわかるため一定の歯止めにはなるが、迷惑電話の根本対策としては不十分なのだ。
迷惑電話防止機能付き電話機
次に実行したのが、迷惑電話防止機能付き電話機への交換だ。
具体的には、パナソニックの『コードレス電話機 VE-GD68DL』を導入した。
※毎度のコメントであるが、筆者はパナソニックの回し者では決してない(笑)。
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この機種は、迷惑電話防止機能として以下3つの機能が搭載されており、現段階においては一人暮らしのお年寄りに最適な固定電話と言えるだろう。
迷惑ブロックサービス
迷惑防止
着信読み上げ
それぞれの機能について紹介する。
迷惑ブロックサービス
トビラシステムズ株式会社が提供するサービスである。
迷惑電話番号データと一致した相手から電話がかかってくると、呼出音を鳴らさずに、自動で着信を拒否します。
お買い上げ時には、警察や自治体などの公的機関から収集された迷惑電話番号データがあらかじめ本機に登録されています。
迷惑電話番号のデータは日々更新されるため、サービスが利用できるようになると、1日に1回、本機が自動的にトビラシステムズ株式会社の迷惑電話データベースからデータをダウンロードして迷惑電話番号データを更新します。
迷惑ブロックが働いた回数も確認できます。
要するに、ブラックリストに掲載されている電話番号からの着信を自動的に拒否してくれるサービスだ。
全ての迷惑電話がカットされるわけではないが、情報は毎日更新されるため、この迷惑電話フィルタリングサービスは大変に心強い。
事実この機能のお陰で、自分の実家では今のところ明らかな迷惑電話の着信は無くなっている。
迷惑防止
これは上記のブラックリストをすり抜けて掛かってくる電話への対策だ。
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電話帳に登録されていない電話から着信があった場合は、双方に下記のようなアナウンスが流れる。
発信者側アナウンス:
「この電話は迷惑電話防止のため録音されます。ご了承ください」
これだけで、怪しい電話を掛ける方は気が萎えるのではないだろうか?
受信者側アナウンス:
プルプル♪ プルプル♪(着信音)
「迷惑電話にご注意ください」を交互に繰り返し
迷惑電話というワードで注意喚起されるため、間違って電話に出ることは無くなるだろう。
留守電モードに設定しておいて、相手の話し声を聞いてから電話に出るようにすれば、大事な用件を取り逃すこともないだろう。
着信読み上げ
さらに便利なのが、電話の連絡先に登録されている電話番号からの着信時に、名前を音声で読み上げてくれる機能だ。
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受信者側アナウンス:
プルプル♪ プルプル♪(着信音)
「〇〇△△さんです」を交互に繰り返し
アナウンスにより、知り合いからの電話だとはっきりわかるため、安心して電話に出ることができる。
高齢の親の場合は、親族や友達などの連絡先は限られてきているだろうから、登録の手間もさほどかからない。
手間を惜しまず登録してあげよう。
アフターフォロー
どんないいサービスでも、ほったらかしはよくない。
迷惑電話防止機能付き電話機を導入した後も、時々は着信履歴をチェックして、怪しい電話がかかってきていないか確認が必要だ。
もし、迷惑電話を見つけたら着信拒否に設定する。
以上が、”認知症になった親の為の『迷惑電話撃退』方法” だ。
※この記事は、個人の見解を述べたものであり、法律的なアドバイスではありません。関連する制度等は変わる可能性があります。法的な解釈や制度の詳細に関しては、必ずご自身で所管官庁、役所、関係機関もしくは弁護士、税理士などをはじめとする専門職にご確認ください。
また本記事は、特定の商品、サービス、手法を推奨しているわけではありません。特定の個人、団体を誹謗中傷する意図もありません。
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