夢見病

現代の難病とも言われている病がある。

夢見病、通称眠り姫。

7時間程の睡眠時間が一般的とされているがここ数年、数日〜数週間の期間で目を覚さない人が増えており、最悪眠ったまま死を迎えるという事例も確認されている。

原因としてはスマホ依存症や、ストレスから来る生活習慣の悪化による睡眠の質の低下が考えられる。

眠りが浅くなる事によって夢を見る、正確には覚えている頻度が激増し、脳が夢と現実の区別が付かなくなる事によって発症すると言われている。

この病が発現した当初はその正体は謎であったが眠っている患者の脳波を調べた所、全ての患者が夢を見ている状態だったという事が判明し、そこから推測されるに至った。

初期症状としてはやはり夢をよく見る事が挙げられる。

現実的には有り得ない様な夢でも夢を見ている最中は脳がそれを現実として捉えている為、警戒が必要である。

対処法としては質の高い睡眠が求められる。

しかしこの病の1番恐ろしい事は別の所にある。

それは患者自身が夢の中にいる事を求めているという点である。

現実が満足行っていなかったり、大きなストレスを抱えていたり、鬱病の傾向にある人はこの病にかかりやすい。

睡眠から醒めるタイミングは短くて2日程、長くて命が尽きるまでであり目を覚ました患者はこれまで体験していた事が現実では無かったという事が受け入れられずに後遺症として記憶障害を患う事がある。

眠っていた期間が2日とは言え脳の中では何十、何百倍もの早さで時間が進む為こういった記憶障害が引き起こされ、その為眠っている期間が長いほど記憶障害を発症しやすい。


僕は今日、目を覚ました。

この非現実的な現実で。

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