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七十二候 麋角解(さわしかのつの おつる)



#今日はなんの日 🍊
#暦の話

七十二候 麋角解
(さわしかのつの おつる)
12/27~5日間

この麋(さわしか、なれしか)の正体ですが
諸説あります

まず今回の暦
鹿の角が落ちる季節というニュアンスですが
実際に鹿の角が落ちるのは3月
つまり春なので
ここで言われる鹿は一般的な
ニホンジカのことではありません

またトナカイの雄などは
冬に角が落ちるので
これが麋ではないかとされたりもしますが
麋(さわしか)というのは
辞書を調べると大柄の鹿のこと

なので体長が1.2~2.3m程度と
幅はあれど小柄なタイプも多い
トナカイはおそらく違います
何より生息分布がちょっと北に
寄り過ぎてます

暦の起源たる中国は
南北に土地が広いので
もっと生息域の広い角獣の事を
指しているはず

また別の説としてよく言及される
ヘラジカもユーラシア大陸北部の針葉樹林に
生息していますが、別名がエルクやムースと
呼ばれる事からわかるように
これもどちらかというと北欧原産種っぽい

いろいろ調べた感じ
個人的にもっとも有力と思うのは
▶ 麋鹿(ミールー)
別名:四不像(シフゾウ)です

かつて中国の湿原に
生息していた麋鹿(びろく)の事

四不像と呼ばれるのは
「蹄は牛に似て牛にあらず、
頭は馬に似て馬にあらず、
角は鹿に似て鹿にあらず、
身は驢馬に似て驢馬にあらず」
という中国の伝承から
きているそうですが

何も伝説上の生き物というわけではなく
多摩動物公園にいます
ただし絶滅危惧種です

19世紀後半、世界がシフゾウを見つけた時
既にその頭数は相当減少していたと見え
南苑と呼ばれる中国の北京に存在した
清朝皇帝の狩猟場の中に飼われていた
個体を確認するのみだったそうですが

不幸にも19世紀末の洪水と
中国で起こった義和団事件の際に
これらの個体も絶滅してしまったのだとか
 ※食われてたらしい

じゃあ今現存している個体はなんなのか
というと、過去に秘密裡に輸出され
ヨーロッパの動物園で飼育していたものを
英国のベッドフォードという
滅茶苦茶金持ちが偶然買い取っていた個体を
細々と繁殖させたものなんだそうで

当然
多摩動物公園にいるシフゾウも
この個体の子孫です

是非
京王線・多摩モノレールに乗るときは
多摩動物公園までシフゾウたちを
見にいってやってください



※豆知識①
シフゾウのリンク貼っておきます
シカ科シフゾウ属というれっきとした
実在する鹿の一種です

恐らくですが
北満州でトナカイを指す言葉として
「四不像」を使っていた事と
個体によってはトナカイも
2mを越える大柄なものが存在するので
後世で誤解を産む原因になったのかなと


※豆知識②
この滅茶苦茶な金持ちベッドフォード(侯爵)ですが、本名はハープランド・アーサー・ラッセル。この家の系譜を辿ると、初代・ベッドフォード侯爵は、イギリスの名誉革命でウィレム3世に招聘者を書いたエドワード・ラッセル伯爵の叔父です。イングランドにあるベッドフォージャー州というところに、このベッドフォージャーさん達の私有財産が観光名所としてあったりすることなんかからも、推して知るべしイギリス貴族という感じ

金持ちってたまに道楽でわけわかんない事しますけど、ベッドフォージャーさんの趣味でシフゾウが救われたんだと思うと、安易に否定もできない気も

※豆知識③
2004年に中国科学院動物研究所のチームがシフゾウの遺伝子解析を行いました。その結果、シフゾウはシカ科の中でも最も原始的な種であることが判明しました。また、シカ科の祖先となった動物は約2000万年前にアジアで分化し、その後ユーラシア大陸や北米へ広がったことも明らかになりました。シフゾウはその過程で中国に残っ

※豆知識④
シフゾウは実はスタジオジブリ作・もののけ姫に出てくる
シシ神様のモデルになっています

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