七十二候 菖蒲華(あやめはなさく)
七十二候「菖蒲華(あやめはなさく)」
夏至の次候です
この時期ですが
アヤメ、ハナショウブ、カキツバタと
三つのまったく似た花が咲きます
立冬(りっとう)にも「山茶始開(つばきはじめてひらく)」という時候がありますが、これも椿とサザンカの二種類の花について触れていまて、似ているけれど違う花なので見分け方のコツが例年検索上位にあがります。ちなみに今回「あやめ」の名前が使われていますが、実際のところ花菖蒲(ハナショウブ)の事を述べていると思われます。こういうのも「山茶始開(つばきはじめてひらく)」に似ていますね(こちらもツバキといいつつ実はサザンカの事を言っているので)
さて三つの花それぞれの特徴をまとめました
でも、見分けられる自信はないですね笑
ハナショウブ:花びらが6枚で、3枚が大きくて3枚が小さい。花茎が中空で節がない
アヤメ:花びらが6枚で、3枚が立ち上がって3枚が垂れ下がる。花茎が中空で節がある
カキツバタ:花びらが6枚で、すべて同じ大きさと形。花茎が中空で節がない
その他、花びらの特徴は下記のとおり。こっちの方が有名
・アヤメには網目模様
・ハナショウブ菱形模様
・杜若には白く細い
多分生息地で見分けるのが一番簡単です
アヤメは水辺に限らず野山に咲きますので
私はアヤメが好きです。名前が好き。言葉にした響きがいい
漢字にしても、彩芽、彩夢、綾女、文目、彩女、綾芽
濁音のつくひらがなが使われていないのもなんか美しい
たおやかな響きです。それでいて「殺める」と掛詞にできるところがまたいい
古典では「菖蒲沢(あやめざわ)」という言葉が
『源氏物語』で恋人たちの逢瀬の場所の名前になっています
多分、花菖蒲や杜若の方が古いのですよね
アヤメは、古くから日本に自生していたものと、中国や朝鮮半島から渡ってきたものがあるそうです。元禄時代に花アヤメと呼ばれたサトイモ科のアヤメが、ショウブの名に置き換わってアヤメを指すようになったそうで、現在のアヤメは、17世紀末から18世紀初めにかけて日本に入ってきたと考えられます。なのでそれ以前の古典で言及されているアヤメはほぼ花菖蒲のことと言っていいでしょう
それでもね。アヤメが私はいい。好きなんです。
だからこそ―― 見(け)みなむ候(そうろう)