七十二候 霜始降(しもはじめてふる)
七十二候 霜始降
(しもはじめてふる)
10/23~5日間です
霜は放射冷却による大気中の水分の
相変化によって発生しますが
植物にとってこれは最悪です
維管束によって吸い上げている
生命線の水を凍らされるばかりでなく
細胞内の水分が凍ると細胞壁が破壊され
枯死します
いわゆる冷害というやつですね
葉も当然枯れ落ちるので
光合成ひとつできません
だいたい一年草はここで枯死します
冬に適応している動植物の
アプローチはだいたい似ていて
以下のパターンのどれかです
・耐寒性遺伝子の獲得
・代謝を下げ冬眠する
要は、耐えるか諦めるか
動物は体温や代謝を下げて冬眠し
グリセロールやトレハロースを増やして
細胞内の水分を凍らせないようにしますが
植物もおなじ
植物も自ら凍結点を下げるため
抗凍タンパク質を生成するらしいのです
このとき細胞内に糖分やアミノ酸などの
溶質が増えるので凍結点が低くなります
落葉自体、そもそも
一種の冬備えですからね
葉の表面からはどんどん熱が逃げ
内部の水分が凍っていくので
事前に落としておけば
細胞のダメージを最小限にできます
多年草などが地上部を枯らして
地下部で越冬するのはそういうわけ
凍結は地表の放射冷却によって起こるので
地下に逃げた方が安全ですからね
他にも低酸素状態に耐性を示す
低温誘導遺伝子など
様々な冬対策をすることで
植物といえど-40℃まで耐えることが
できる種もあるそうで
冬を察知する概日時計因子も含め
これらが植物が幾星霜もかけて獲得した
“冬対策”というわけです
晩秋に入っているわけですが
このくらいでないと私は
秋って気がしないんですよね
寒極まって冷となる、という言葉が
ありますが、初霜を踏んだときは
まさにそれ
歴史的にみると
今週はいろんなことがありました
▶1872年10月24日
日本初の鉄道開通
※新橋~横浜間の約29km路線
▶1926年10月25日
大正が終わり、昭和が始まる
▶1868年10月26日
五箇条の御誓文発布(明治維新)
霜降れば花も実もなき草の葉に
色をそふべき心地こそすれ
色無き季節も歴史を紐解けば
鮮やかな記録がたくさん
時間は過ぎていくとしても
振り返って残るものがあるって
いいもんだなあと思います
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