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七十二候 橘始黄 (たちばなはじめてきなり)


#今日はなんの日 🍊
#暦の話

七十二候 橘始黄
 (たちばなはじめてきなり)
12/2~5日間

橘(たちばな)は柑橘の一種です

古くから野生していた
日本固有種のようで
四国、九州それから瀬戸内および
本州中国地方の山中に
稀に自生するそうな

最北端は静岡県沼津に
確認されるそうなので
比較的暖かいところで
育つ種なことがわかります

花を咲かせるのは五月頃
そして初冬である今は
3cm程度の小ぶりな果実が
黄色に熟し始める時期ということです

残念ながら食用ではないそうですが
調味料に加工されたり
薬用、香料に用いられる事はあるとか

橘は奈良時代において
常世の国から田道間守が持ち帰った
「非時香菓(ときじくのかくのこのみ)」
とされています
※香りを失う事のない永遠の実

したがって
恐らくは日本に初めて伝来した柑橘類とされ
黄金柑や日向夏のルーツもこの橘だそうです

では逆に橘のルーツはどこにあるのか

長い間研究がなされていたようですが
近年、ゲノム解析によって
沖縄のシークワーサーと同じ
親を持っていることが判明したそうな

その名も「タニブター」
一般的に生食用に多く消費されている
マンダリンオレンジのグループに
分類されながら
有性生殖をするタイプの
固有種である点が特徴

通常、柑橘は
珠心胚実生(しゅしんはいみしょう)
と言って

受精の結果発芽するのではなく
珠心胚とよばれる親植物の細胞由来の
芽を形成します

早い話、クローンなんですよね
しかしタニブターは有性生殖します

なので、このタニブターを起点として
大陸のマンダリンオレンジとの交配により
さまざまな柑橘類が
日本列島にもたらされたのではないかと
考えられるそうです

こういうのを
アポミクシス(無融合種子形成)と
言うらしいですよ

1300年前の古書の記録が
最先端の科学で裏付けられるって
凄いですよね

日本列島は
約258万年前から約1万年くらい前は
おおよそ半島のような形で
ユーラシア大陸に属しているので
この期間の間に
南側から日本列島に入り込んできた
ということがわかります

食べると永遠の命を手にできるという
常世の果実・橘
残念ながら食べる事はできませんが

お風呂に浮かべて
香りと色を楽しんでみるのも
冬のいい風物詩に
なるんじゃないでしょうか


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