七十二候 蚕起食桑栄(かいこおきてくわをはむ)
初夏は「立夏」「小満」に
わかれていますが
立夏が終わって小満に入りました
何が満ちたのかと言うと
麦の穂の事を言ってるんだそうな
草木の緑が濃くなる日差し
気温もすっかり夏ですね
5月頭のやや寒い気候が嘘のようです
七十二候は
「蚕起食桑」
(かいこおきてくわをはむ)
絹原料となる蚕が桑の葉を
もりもり食べる季節というわけ
桑は丁度5月頭くらいに花を咲かせ
6月に実をつけるので
まさに今が深緑色の葉の時期
ちなみに
マルベリーという名のごとく
熟した桑の実は甘酸っぱいです
しかも種無しなので食べやすい
動物由来の絹糸ですが
江戸時代から綿花栽培が拡大し
明治以降は政策もあって
世界一の綿布生産国だったにも
関わらず、
大正から昭和初期の日本の主力輸出品は
まさに蚕から取れる絹糸だったそうです
高品質・高単価のJapaneseブランド
私調べていて初めて知ったんですが
群馬県に
世界で唯一、自動制御された
蚕の人工飼料製造工場が
群馬県にあるんですね
▶︎稚蚕人工飼料「くわのはな」
蚕は稚蚕と壮蚕の時期があり
壮蚕のたくさん桑を食べる時期の前に
清浄な空間で質の良い人工飼料で
育てられる時期があるのです
ちなみに蚕は本当に桑しか食べません
正確には食べることは可能なのですが
蚕自身が唯一不味いと感じない植物が
桑しかないのだそうです
(接触阻害物質の含有量が
関係してるそうな)
後は栄養価の観点からも
他のものを食べても栄養が足りず
きちんと成長しないのだそうな
そんな蚕が人工飼料を食べるのは
少しずつ桑以外のものに興味のある種を
選り分けて品種改良し続けた賜物
実はちょっとだけ味音痴な種を
注意深く育てる事で実現したそうな
人工飼料自体は戦前からあったとされます
科学的立証こそ1960年代ですが
蚕絹自体ははるか前から
生産されてるわけで
ここに壮大な歴史の厚みを感じませんか
品種改良の果てに
ついには飛ぶことすら出来なくなった蚕
シルクロード(絹の道)の裏に
何となく仄暗いものを感じますね笑
でも牛豚と同じく一頭、二頭と数える
昆虫も彼らだけ
そういう意味では、人間もまた
蚕に対して特別な想いを持っているとも
考えられないでしょうか