七十二候 鴻雁来(こうがんきたる)
七十二候 鴻雁来
(こうがんきたる)
10/8~10/12
雁は、 かり、またはがん
と読みます
雁が渡ってくるときの
北風を雁渡しと言うそうですが
丁度日本だと北西から吹いてくる風
10月頃から大陸性高気圧が発達すると
されているので
もうこの時期から少しずつ西高東低の
冬型気圧配置になりつつあるわけです
ここに元々吹いている偏西風が
足される事になるので
まさに今の時期は
ちょうど雁が戻ってくるにもいい風が
吹いてきていると思ってもいいのでは?
雁はホトトギスの次に歌に登場するらしく
またツバメと入れ違いに行き来するので
ツバメの対義となる単語でもあります
イメージは枕詞である「遠つ人」に
現れるように
いつかここに帰ってくる人を待つ
そんなイメージがつきまとう鳥です
(実際「雁の使」という言葉は手紙を
意味します)
なんとなく寂しいイメージですね
雁というと朗読会るぴなすでは
すぐに宮沢賢治が浮かびますが
彼の文語詩篇 五十篇にも
「初七日」というタイトルで
落雁(らくがん)という単語が出てきます
お菓子ですけどね
仏教では、人が亡くなると四十九日後に
生まれ変わると考えられていますが
亡くなってから七日ごとに
それぞれ段階があって
初七日は、ちょうど三途の川のほとりに
到着する日なのだとか
この供養を「初七日法要」と言うらしいです
読めば分かりますが
納骨されていく葬式の様子の詩
…暗い
宮沢賢治の文語詩篇は晩年に制作された
もので、彼が病没する一か月前に定稿化
したらしいですが
この時期の彼は羅須地人協会運動に
失敗した後ですからね
同時期のアメニモマケズ手帳が
実はめちゃくちゃ暗いという話は
先月9/24の自作特集コラムでも触れました
雁自体は夕映えに
綺麗に並んで飛んでいるだけですよね
そこに過去人が気持ちをのせ続けていたら
いつの間にか寂しい詩ばかり
集まっちゃったんでしょうが...
雁からすれば複雑ですね笑
グースって映画、有名じゃないですか
カナダ雁の話で
刷り込みで親になってしまった少女が
父親の自作飛行機で親代わりに
16羽のグースたちの
渡りを先導する、という映画です
こういう心温まる雁も
ちゃんとあるので寂しい雁だけじゃなく
なるべくあったかい方で
雁を使いたい気もします