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手紙~拝啓19世紀の君へ

人様の手紙を読むという背徳感への誘い

 手紙は、ショパンという人間を知るのに最高のアイテムで、「かわいい!」「おもしろい!」と思ってもらえるに違いないエピソードなども盛りだくさんなので是非とも読んでハマっていただきたいのだが、39年の短い生涯とはいえ、メールも電話もない時代に生きたショパンが残した手紙の数はそこそこ多く(それでも筆不精の方なのだ)、現在出版されている書簡集は「ちょっとショパンに興味があるな」という方が購入するには値が張るし、何より全部読むのが面倒になってしまうかもしれない。
 それはよくない!もったいない!
 というわけで、この連載では、筆者が勝手に選んだ「ショパンの魅力がキラリ」する手紙を1通ずつご紹介しようと思う。
 なお、ショパンインスティテュートのサイトにはその手紙が全てポーランド語で見ることができるので、そちらから原文を引用した。言葉が分からなくとも(もし分かる方がいらっしゃるなら私の師となっていただきたい……)、せっかくならショパンが最も親しんだ言葉を目で楽しんでいただきたいと思ったからである。
 筆者の拙訳と解説のようなものを添えてお送りしたいと思う。

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