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みざくらの樹 #2 ~ 「されど年賀状」考
今期の「秋ドラマ」もそろそろ終盤に入っているが、なかなか豊作ではないかと思う。最近はリアルタイムではなく、週末にまとめて観ることが多いのだが、久々のヒット作のNHKの朝ドラ(「ブギウギ」)を始め、ティ―バーを開けば、なにかしら観ようかなと思う番組が多く、テレビ鑑賞を最大の娯楽としてきた世代としては喜ばしい限り。最近、動画配信対応のテレビに取り換えて準備万端、年末年始も楽しみである。「いちばんすきな花」(フジテレビ)は、なぜか知らないがはまりつつある松下洸平とカワユイ今田美桜ちゃんが出ており、時折、相変わらずメンドウクサイこと言っとるのォと思いつつも毎週フォローしている。クワトロ主演の彼らは「生きづらい」らしいのだが、これだけ自分の考えを吐露できるんならマシなんじゃない、と突っ込んでみたくなる。このしゃべりのテンポ、世界観はどこかで見たことがあるかも。そうだ、昔の山田太一さんの脚本のドラマかな、と思っていたら、ご本人の訃報が飛び込んできた。私の親と同じぐらいの年代の方、病気をされていたと聞いていたし、いつかは来る日だったのだろうがやはり寂しい気持ちでいっぱいである。多感な高校生の頃、山田さんの作品に接し、いろいろなことを考えさせられた。時代が変わっても不変のものはある。そう信じて若い世代とともに「車輪の一歩」 (1979年・NHK 「男たちの旅路」第4部第3話)を観たなら、皆、鼻をすすり出すのである。これだけ山田さんを敬愛する私が追悼記事を書かずして誰が書くのか、と勝手に思い込んでいるので、これからの私のnoteのシリーズのひとつになりそうだ。
さて、師走ともなるとそろそろ年賀状を作成するシーズン。11月に入ったあたりから欠礼はがきが届き始めるので、リストで今年の宛先を精査する。最盛期には250枚出していたが、毎年少しずつ厳選して今は100枚前後になった。 30年ほど前、転職して業界を変えた時、読んでいたビジネス書に「毎年、年賀状の出し先を50枚ずつ増やすことを目標にしよう」「一年でたった50円(※当時)の経費で、絶大な人脈形成に役立ちうる優れもの」と書かれていてなるほどと思い、連絡先を知った人にはまず絵葉書で挨拶を送ったあと、年賀状も必ず出した。返ってきた方とは今もずっとやりとりが続いている。年賀状は美しい絵柄にするよりも、近況報告をできるだけ文章で書くようにする。簡潔にするのはなかなか難しく、ちょっとした頭の体操である。大学のOG会で出会った先輩が、年賀状に書いた私の近況に目を留めてくださり、ある大きな仕事に抜擢してくださった。振り返れば、私が今あるのはその仕事のおかげと言っても過言ではないので、全くビジネス書のご指南どおりであった。 近況を書くのにはコツがあって、自分に関してあった事実、したことだけを書くことである。「昨年は、全国〇〇か所の施設を訪れ、研修を行いました」のように数字を挙げるとなおよい。「仕事が充実してよい一年でした」などと書くと、自慢とかマウントとかと取る人も相変わらずいるので(やれやれ・・笑)、ただ淡々と記す。それでも良い人材を活用しようとアンテナを張っている人(ご自身が有能な方である)の目には留まる。私の職業人生も終盤に入っており、そのような年賀状人脈も整理の時期に入ってきた。「今回で卒業です」と添え書きされる方も増えてきた。私の方もそれまでのご縁に心から感謝し、末永いご健康とご多幸をお祈りしつつ、近い将来出すことになる最後の年賀状は丁寧に出すことにしたい 。