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心理的な負荷は「強」に至らず心因反応の業務起因性は認められないとした例(平成24年6月28日東京地裁)

概要

学会事務局の職員であった原告が、休職を余儀なくされたのは、長時間労働及び当時の理事長からの継続的なハラスメント行為等により、心因反応を発病したことに起因するものであるとして、労働者災害補償保険法に基づく休業補償給付の支給を申請したところ、不支給処分を受けたことから、その取消を求めた。

結論

棄却

判旨

疾病発病前の概ね6か月の間の本件疾病発病に関与したと考えられる業務による出来事について,心理的負荷の強度は,厚生労働省労働基準局長通達「心理的負荷による精神障害の認定基準について」における「弱」ないし「中」と評価するのが相当であり,業務の困難性や時間外労働は,さほどのものではなかったといわざるを得ないこと,理事長及び事務局長は事務局に常駐しておらず,職員が勤務時間中常時上司と行動を共にしたり,頻繁に顔を合わせてその決裁を受けるような状態ではなく,同人らと顔を合わせる機会は少なかったこと等から,総合評価は「中」にとどまり,「強」に至らないと評価するのが相当であることから,認定基準によっても,本件疾病につき,「対象疾病の発病前おおむね6か月の間に,業務による強い心理的負荷が認められること」ということはできず,業務による心理的負荷以外の特段の心理的負荷や,個体側要因について判断するまでもなく,本件疾病の業務起因性を認めることはできない。

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