副校長に対する降任処分は有効で雇用契約上の地位確認及び慰謝料が斥けられた例(平成24年8月30日東京地裁)
概要
国立大学音楽学部付属高校副校長であった原告が、同高校主幹教諭に降任させる旨の人事異動が無効であると主張して、付属高校を設置運営する被告(国立大学法人)に対し、副校長としての雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、未払賃金及び遅延損害金の支払いを求めるとともに、降任が違法・無効であり、不法行為を構成すると主張して、慰謝料及び遅延損害金の支払いを求めた。
結論
棄却
判旨
元副校長は,教諭によるハラスメントに関し,関係者から事情を聴取して原因を究明して必要に応じてその間の調整を図るなどの積極的行動を一切取らずにこれを放置しながら,副校長として執るべき具体的対応策が明らかでなく,本件ハラスメントの発生が防止不可能であったなどと主張するに至っており,自らの職務上の義務違反を真摯に反省する態度を示していないといわざるを得ないことなどの諸事情に照らせば,元副校長が,その指摘に係る職場環境維持以外の副校長としての業務を滞りなく行っていた事実を最大限考慮したとしても,元副校長の副校長としての適性の欠如を認めざるを得ないというべきである等から,就業規則所定の降任事由に該当する。
本件降任は,大学の人事権の行使として適法にされたものであるから,違法ではないというべきであり,元副校長の本件不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。
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