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ポエム帳

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酔っぱらったときに書きます。
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2017年9月の記事一覧

ひとりきりの夜の終わりに

 孤独はいつだって、私の相棒だった。朝がくるたび夕暮れを想い、私だけが風景となった街の中で、影だけをえらんで歩いた。誰かと言葉を交わすたびに、胸の奥の淋しさが万国旗のように風にはためくようでためらわれた。私は一日中人気のないバーで暮らしている気分だった。無言とため息が裏表になったレコードをひたすら流し続ける、陽の当たらないバーである。だから私にとって、私がすべてだった。私以外の何もかもがつまらない

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夏が終わってしまってつらい

目覚めたら身ぶるいして布団にくるまってしまう朝がつらい。廊下に出るとひんやりしているのがつらい。青空が青すぎるのがつらい。かわいた清々しい空気がつらい。薄手の長袖を羽織って歩く人とすれ違うのがつらい。蝉の声が独唱に変わっているのがつらい。コンビニにおでんが並び始めたのがつらい。八百屋からスイカが消えたのがつらい。陽だまりがあたたかく感じるのがつらい。お散歩日和だねって若い夫婦が乳母車を押しながら話

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