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背中【One】



隠せない想いを恋心という





滴りおちた涙の雫の
川から海へと流れてやがて
大空へと帰っていくこと


あなたの涙はそのまま心だった
それは決して隠せない美しさで


心がこぼれた



隠せなかった




隠せないあつい想いを恋心という





言葉が命を与えた清浄な
森の空気のような
いつも在るのに
まるで見えずに透明な
それを恋心と名づけた




恋心とは木々の祈りだった





そう名づけたときから私は
あなたにじつは恋している






あなたは木の下に座り
光のしずくをひとつぶ拾うだろう




滴り落ちた涙は
やがてこの星に帰ってゆくと
気がつく間もなく
悲嘆に暮れた日も



木は知っていた




隠せなかった





伝えないままそこにある想いを恋心という






そっと背中に手をそえた
あなただけのことばが描いてある
その背中に



涙は大地を潤しながら木々を育て
いつか色とりどりの花たちの
そこかしこに色を咲かせてゆくことを
どこかで信じていた





信じて気がつくことを恋心という





花瓶のお花に水を与えてください

気がつかないまま通りすぎたのですね




正面から笑顔をください



隠せなかった



ある日の日のこと
私はあなたの背中に恋をした



泣いて笑ってあなたに恋をした




恋心は背中で隠すもの


背中シリーズ


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べじさん
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