背中【Two】

～恋のはなし～

ぼくは誰にでも恋をする

決まって背中に恋をする

大空にお日さまに雲に
ときには雨に
みずたまりに

大海原に
大河に
小川に

山に
高原に
森に林に木陰に
花畑に

美味しいお野菜に果物に
お肉、お魚、御飯、水、
パンにコーヒーに


たくさんの食べものに感謝して
たくさん恋をする

生きているものほとんどに
岩に石に鉄に
絵の具にペンに楽器に
生きていないようでも
じつは生きているものほとんどに

ぼくは公園にも宇宙にも
いくつになっても恋をする

詩にも歌にも絵にも
もちろん恋をしている
ことばではあらわせない恋人がいる

その背中に

叶わない恋をたくさんしている

たくさんの恋心

誰もが誰かの背中に恋をするならば

世界はどれだけ幸せだろうか

恋をしたら
大切なものに囲まれていることに
きっと気がつく

背中にも正面にもあなたがいる
幸せいっぱいだ

電柱の背中
ひとり立つ

背中シリーズ