おかあさんのとなり
420文字
パンのみみ
パンのみみを切って
パンを焼いて
サンドイッチでほっ
パンのみみ
パンのみみはかたくて
痛くてパンのみみ苦手
パンのみみを揚げて
おさとうまぶして
おいしい揚げパン
パンのみみ好き
パンのみみを切って
こまごまに切って
ばらばらにして
こなごな
ハンバーグのたねに入れたね
パラパラ
パラパラ
あったかくて長くてやさしい手
パンのみみはすごい
背のびして
おかあさんのとなり
見上げたキッチン
いいにおいと
パンのみみ
あんなにも
安心する場所はなかったね
あったかい
おかあさんのとなり
パンのみみ
おいしい
おかあさん
ありがとう
おかあさんのとなり
何十年後にまた
おかあさんのとなり
支えてあげる
右側を注意して
包丁を手にうれしそうな
おかあさんのとなりで
心配で心配で
どうしようもなく
おかあさんのとなりで
ずっと付き添うけど
おかあさんのとなり
あったかいとなり
ぼくは孝行できていますか
万分の一でも
あたたかくできていますか
あの日のように懐かしい
ぼくが見守るのは
おかあさんのとなり
おかあさん
パンのみみのおやつ
ありがとう
退院後の母親に付き添っていました
少し足の動きが不自由でも
包丁手さばきはすばらしい
母の恩を感じては
心が時空間を超えました
幼い頃の思い出
幼いぼくは
おじさんになったけど
一瞬で思い出す
あたたかい気持ち
甘いパンの耳を油で揚げた
あたたかいおやつ
いつまでも一緒にいられない
けれども
いつまでも思い出と恩は
忘れない
心には時空間の制限はなく
もっともっと自由です
思い出すたびに
そんなことを考えるのでした
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