サザエさんの中島くんに、わたしはなる。
企画メシ2021の講義も、早いもので4回目。
今回の講師は、ダイアログ・イン・ザ・ダークのアテンドを長年務める檜山晃さん。
檜山さんからの事前の課題は、こちら。
目を閉じてパラリンピックを「音」で観戦してきてください。
そこで発見したことを「40秒」で話してください。
音で観戦…!?
私は今までほとんどパラリンピックの競技を観戦したことがなかったし、もちろん耳でも観戦したこともない。
何を発見できるのか予想がつかず、ワクワク半分、不安半分だった。
●いざ、音で観戦
私がまず観戦しようと思った競技は、ゴールボール。
NHKで放映された『アニメ・イン・ザ・ダーク』での女子ゴールボール選手のチームワークに感動して、じっくり試合を観戦してみたいと素直に思ったからだ。
早速日程を確認して、試合当日。テレビの前でスタンバイして、目を閉じてみる。
そこでまず私が感じたのは、「見えてしまう」ということ。
事前にゴールボールの試合動画を見たりルールを調べてたりしていたからか、選手の姿や動きがなんとなく目に浮かんでしまう。それに、実況の解説が導いてくれるので、割とスムーズに様子が頭に浮かんだ。
でも、もし私がゴールボールの試合を一度も見たことがなかったとしたら、どう感じるんだろう?
その感覚にできるだけ近づきたいと思い、テレビでの観戦をやめてNHKの見逃し動画で改めて観戦してみることにした。
●見えるものって、みんな違う
パソコンを立ち上げ、同じように目を閉じて観戦してみる。
今度は実況がないので、音がよりクリアに聞こえる。
すると、ボールが右左に行き交う音や、靴が床に擦れてキュッキュと鳴る音、日本選手の掛け声の内容まではっきりと聞こえた。
さっきとは違って、まるで自分がコートの中にいるような感覚になった。
そこで、試合の勝負の行方を追うのは一旦やめて、いろんなしがらみを取っ払って、自由に耳を澄ませてみることにした。
すると私には、ロボットとそれを操縦する3人の操縦士の姿が思い浮かんだ。
ロボットは感情を持っていて、うまくいかなくなると落ち込んでしまうから、操縦士たちはボールが転がってくる方向を「右」「左」と指示するだけではなくて、「大丈夫」、「次集中しよう」と励ましたりもする。
…おもしろい!
耳だけで観戦すると想像が広がるのかもしれない。
そして、今度は他の人がどう感じるのかも知りたくなり、家族や友人に動画を共有して感想を聞いてみた。
・ボールが転がる軌跡が線のように見える気がして、その線がまっしろい紙に描かれるような映像を思い浮かべた。
・人と人の間を狙うというよりは、何か透明人間みたいな的があって、それを狙っているような感覚だった。
・ボールが転がる音=ボウリングというイメージだから、どこかにピンがあるのではないかと思ってしまった。
なにそれ~!おもしろい!
自分にはなかった感覚ばかりで驚いた。
本来であれば音を頼りにして勝負の行方を追うと思うので、普段の観戦の仕方とは違うかもしれないけれど、1つの感覚を閉ざすとその他の感覚がいつも以上に働くことを実感できた。
それに、同じ音を聞いているはずなのに、みんな見えるものが違っておもしろかった。
●少しでも楽しんでもらえるように
次に考えなければいけないのは、この発見をどうやって伝えるか。
私がまず考えたのは、檜山さんや阿部さん、そして企画生の皆さんが80名以上の音源を聞かなければいけないということ。
それは想像しただけでも大変なことなので、私の音源が箸休めになるような、ちょっと気楽に楽しんでもらえるようなものにしたいと思った。
(これに関しては、ひよりんさんと考え方が似ていて、共感できて嬉しかったです^^)
そこで、楽しんでもらえるようにということでクイズ形式にして、
(編集、初めてやってみましたがSEを切り貼りするのが楽しかった!)
40秒に収めるために調整して、
(40秒ってこんなに短いの?あと1秒どうしても削れないのよ!と悶絶した)
声のテンションが低い!と思って録音し直しまくって、
(自分の声を聴くのが苦手で恥ずかしかった…!)
いざ、提出!!
(息切れ)
1人でドタバタしてしまったけれど、どうすれば聴いてくれる人に楽しんでもらえるか考えている時間はとても楽しかった。
●私はちゃんと「対話」できている?
講義の当日、檜山さんのお話の中で特にハッとしたのは、「知らないことが増えていくのが面白い」という考え方。
私は、知らないものに囲まれると自分の至らなさに焦ってしまったり、何から手をつけていいのか分からなくなってしまう気がするからだ。
でも、考えてみると、知らないものに触れる楽しさは今回の課題でも実感した気がする。
ゴールボールを音で観戦した時の気持ちがそれだった。
だから、もっと怖がらずに、知らないことに飛び込んでいこうと檜山さんから勇気をもらった気がした。
そして、檜山さんは阿部さんや企画生一人ひとりとじっくり向き合いながら対話してくれた。
最後に「もし一瞬でも目が見えたらキャッチボールで相手の胸元にボールを飛ばしたい」と話していた檜山さん。
檜山さんの伝えたいことは、私たちの胸のど真ん中にちゃんと届いていますよ!と伝えたくなった。
では、私はどうだろう?
普段、ちゃんと対話のキャッチボールができているのかなと考えた。
相手が取りやすいようにボールを投げられている?
自分の得意技を見せたいがために、相手が取りにくい変化球を投げていない?
観客の方に気を取られて、ボールを受け取る相手をないがしろにしていない?
相手からのボールをしっかり受け止められている?
そもそも、最近友達や家族と対話できているかと振り返ってみると、なかなか機会を持てていなかった気がする。
だから、まずは自分から、「キャッチボールしない?」と誘うことから始めようと思う。
ちょうど、サザエさんの中島くんが「おーい磯野、野球しようぜ!」と軽快にカツオを誘うみたいに。
まずは対話できる場、向かい合える雰囲気をつくることから始めようと思う。
目指せ、中島くん。
●おわりに
今回の課題と檜山さんのお話を通して、普段の自分の「対話」について見直すきっかけになった。
きっとこれは、企画する上でも、誰かと接する上でもものすごく大切なことだと思う。
企画メシでは、企画の技術や手法よりももっと大事な考え方や相手との向き合い方を教えてもらっている気がする。
企画メシに参加して良かったなあと、改めて思った回でした。