『カリブ海の秘密』『星を継ぐもの』有名ミステリー&SF本【読書感想】
「カリブ海の秘密」と「星を継ぐもの」を読みました!それぞれ前半は過度なネタバレ無し、後半はネタバレありで書きます。前半部分でも作品内容におおざっぱに触れるので、読むと決めている人は読まない方が良いかもしれない。
「カリブ海の秘密」(過度なネタバレ無し)
あらすじ
主なあらすじは上記の通り。穏やかなリゾート地で起こる事件、何やら複雑な人間関係、いったい誰がどういう意図を持って行動しているのか?ミステリーの女王として知られる、アガサ・クリスティーのミス・マープルシリーズの一作品。
面白いところ
ミス・マープルの事件追及の仕方が面白い!ミス・マープルは老婦人で、特に権力も持たず、周りの人から情報を集めるのも協力を得るのも簡単ではない。そこでマープルは自分がどう見られているかや、人の特徴などを分析し、立ち回っていく。
ミス・マープルシリーズを読んだのは初めてだったけど、ここがまず面白いと思った!たくさんミステリーを読んでいるわけではないのもあるけど、後ろ盾も無い老婦人が探偵をするというのは、ある種それだけで見どころであると思う。マープルには知的なかっこよさがある。
また、これは古典作品だと特にある事だと思うが、舞台や時代の雰囲気を感じられる。この作品での舞台は西インド諸島のリゾート地だ。異国情緒とでもいうか、当時のリゾート地というのはこういった感じだったのかな…と感じられるのが楽しい。私自身は海外は1回しか行ったことないし、いわゆるリゾート地も多分行ったことが無いので、リアルがどんなものなのか全然知らないけどね。
ミステリーやトリックの部分でいえば、大どんでん返しとか、奇をてらったものではないと思うけど、うまくやられたなーという気分になった。終盤の方では「確かに…確かにね!」っていう感じになっていた。もろにネタバレの部分なので詳しく書けない。読んでみてください。
総評
硬派なミステリーであり、派手さはないながらも、読み進めるのが楽しい。私自身はミステリー小説をたくさん読んでるわけではないが(ミステリーとか推理もの自体は好き)、ミステリー小説っていいな~という気分になった。だからミステリー小説をあまり読んでない人でも普通に楽しめるんじゃないかと思う。
ミス・マープルシリーズの他の本も読みたいな~~。
「カリブ海の秘密」(ネタバレあり)
ここは完全にネタバレありです。
・ミス・マープルのキャラ
上の方でも書いたけどミス・マープルがいいキャラしてるな、と思った。普段は穏やかかつちょっとおしゃべりな、どこにでもいるお婆さんのように振舞いながら、その実冷静に目的のための手段を考えている、やっぱりかっこいいと思います。その上自分に絶対の自信があるわけでもないのがなんとも人間らしいというか…自分の芯を持ちながらも周囲をはねつけないというのはやはり年の功といった感じなのだろうか。
ラフィールさんとの一時的なバディみたいなのもいい。この人も含めて、自分の芯がありそうな人というのはなんだか魅力的に見える。
解説を読むにこの作品は、ミス・マープルシリーズの中でもマープルが老いている年での話なのかな?と思ったけど、こうなると他の作品も気になるね。
・ミステリー全体
全体のトリックでは、明かされるまで誰が犯人か分からなかった…少尉の話がわりとそのまんま犯人を表していたな。夫が妻を自殺に見せかけて殺していた、ぐらいにしか認識してなかったよー。あとから考えれば犯人の目星はもっと早くつけられたのでは?と思ったので終盤のマープルには賛同しっぱなしだった。なんか少し悔しい。無数のうわさにまんまと騙されていた。
人間関係は本当に複雑だった、そことそこが関係あるんだ、というのが何回もあった。この辺は尚更明かされるまで全然分からなかった。
あと少尉だけ死ぬかと思ったら加えて二人も死んでびっくり。確かに途中からジョンスンは死にそうな感じが出てきたけど(少尉も口封じだったし)。マープルも狙われるのでは?と思って少しハラハラしていた。
「星を継ぐもの」(過度なネタバレ無し)
あらすじ
主なあらすじは上記の通り。月で見つかる人の死体。しかしそれは現在の地球に存在していなかった、五万年前の人物。一体どうしてこんなことになっているのか?SF作家で有名なジェイムズ・P・ホーガンのデビュー作。
面白いところ
スケールの壮大さと謎の絡み方が見事。現在正しいとされている人類史を揺るがすような謎に立ち向かう、これだけでもワクワクするね。この作品自体は1977年が初版であり、当時の科学知識で書かれていると思うんだけど、宇宙の謎とかそういったものは現代でもまだまだあるから(私自身がそんなに知識無いというのも理由かもしれない)宇宙のロマンも存分に感じることができる。あと、読者である私も人間であるので、作中の人類史議論にも「私たち(人類)って本当はそうなってたのか…!?」という風に自身も巻き込まれる感じで楽しく読むこともできる。
この作品はあらすじからも分かる通り、SFミステリーといった感じで、作中では謎をひたすら突き詰め続ける。いわゆる絵面的にはわりと地味だと思う。調査、仮説、議論をただ何回もこなす感じ。だけどそれが面白い。作中では様々な考えや意見が出てきて、読者としても「確かに」と「それは違う」を繰り返す。自分だったらこの状況でどう考えるだろう、といった感じで読むこともできる。考えることは、多分それ自体が楽しいのだと思う。基本は主人公のハント博士の思考を基に考えればいいので、科学知識が無くてもなんとな~く議論に入り込むことができる。
総評
ハードSFミステリーであり、謎の真相をひたすら追い求める話なので、そういった文章を読むのが苦手な人には勧めにくいかもしれない。科学知識とかはそんなになくても行けると思う。機器や物質の理解をせずとも、こういう役割、働きをするやつなんだ、というざっくりとした認識でも楽しめるはず。
宇宙、歴史のロマン、謎の追求、そういったものに惹かれるならよりおすすめ。もちろんSF好きにも(SF好きはすでに読んでる人多そうだけど…)
ちなみにこの作品は続編が3作品ほどでている、いつか読むぞ。
「星を継ぐもの」(ネタバレあり)
ここは完全にネタバレありです。
・謎の追求
チャーリーの正体やかつて何があったのかとか、人類はどう生まれたのか、ルナリアンとの関係、説が2転3転していくのが面白い!最初から最後までずっとミステリー味が強かった。いろいろな謎が一つの真実に結びついていくはやっぱ気持ちいい。まだ謎は残ってるけど!最後の終わり方とか最初のシーンとか、ハント博士たちが分かってない謎はまだまだあるよね。だから続編もあるのだと思うけど。次であらかた分かるのか…?
謎が謎を呼ぶ、みたいな構成になってるのもより惹きつけられた。
というか地球→ミネルバ→月→地球っていう感じで人類が移動してんだよね。改めて考えてもなかなかとんでもない…月が昔は違う星の衛星だったとか、考えもしなかった。人類の先祖も別の星で同じように暮らして、争って、って、ロマンというかなんというか、時の流れと親近感とを感じて不思議な感覚になる。
あとは巨人がね、今作だと存在と高度な文明を持っていいたことぐらいしか分からなかったけど、次作のタイトルからしても非常に気になる。コリエルって巨人だったんだよな、人間と一緒にいたんだよね…でも巨人はどこかのタイミングでいなくなったっぽい、気になる。次作で分かるか?
・人々の頑張り
主人公のハント博士も含めて、全体がプロフェッショナルって感じで良い。ダンチェッカーさんとかも最初はちょっと見下してくるような嫌な感じもあったけど、終盤は共に謎を解き明かすものとして共闘している感じになったのが良かった。
世界的に大ニュースとなっているからチームの規模も大きいし、色々な人々がチャーリーを軸に繋がっていて、人類の総力戦という雰囲気もあり、物語の規模の大きさを感じられた。
ルナリアン達、チャーリーの最後もね…何があったのか詳しくは分からないけどただ苦しさや虚しさが伝わってきた。同じように人間だから共感しやすい面もあるのだろうな。タイトルも読み終わってから改めて考えると、チャーリー達の生はこうして今も繋がっているぞ、という実感を得られる。
最後に
「カリブ海の秘密」「星を継ぐもの」どちらも面白い本でした!本読むのは好きだけど最近あまり読めてなかったからな~次は十角館の殺人を読もうと考えている。読んでる冊数がそんなに多くないので有名どころばかり読んでる。
ミステリーもSFも面白い!読もう!
時間ないけどね!(ゲームは最近chained echoesというRPGをやっています、ゲームも読書もやりたい…)
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