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ハンターハンター考察409話 | 交差する2人の願い
カードゲーム終わったーーー!
戒厳令は上層で発令されてたーーーー!
ボークセンがモレナの仲間になったーーーーーーーー!!!
カード説明が始まった時は、どこぞの暴と智のギャンブル漫画が如く、混沌の展開になるかと思いました。
悪い予想に反し、スッパリ終わって良かったです。
これ以外にもいろんな予想が外れてる気もしますが、まぁそれはいいじゃないの!
楽しく読めればいいじゃないの!(前向き)
今回は、次のトピックから振り返ります。
戒厳令は三層から
ゲームから見る2人の思い
1. 戒厳令は三層から
国家存亡の危機に対する最大限の厳戒体制。
そんな緊急事態が発令されたのは、第三層であるようです。
であるなら、王位継承戦に関連する緊急事態ではなさそう。
第四層・第五層が含まれていないので、下層のマフィアの抗争でもなさそう。
前回の洗い出しから判断するなら、残りは幻影旅団の暴走か、ハルケンブルグ王子参列者の暴動。
ドッグマンがまだ勧誘(誘拐)を続けているとすれば、彼が鍵になっているかもしれません。
エイ=イ組に関することなら、ゲームに割って入ってでも組員が止めに入るだろうから、これは違うかなと思います。
王子参列者の暴動も、まぁ違うでしょ。「第三層の全市民は今すぐひざまづけ!」って、秒で制圧されてるみたいだし。
なら残るのは、幻影旅団関連。
マフィアたちが旅団が制御できないと結論づけ、軍にタレコミを行った。「幻影旅団が3層にいて、上層侵入を試みてるぞ!」みたいな。
旅団メンバーはA級賞金首として顔が割れているので、捜索のために市民に待機を命じた。
そんな線ではないでしょうか?
どうなのでしょうか?
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一般人に顔割れてるのに、殊更目立つ格好のクロロさん
2. ゲームから見る2人の思い
407話から始まった2人の試合が、今話で一応の幕引きとなったようです。
それぞれの思いに隠れている部分はありますが、ここまで分かったことを振り返ってみます。
モレナという女
現エイ=イ組組長のモレナ=プルード。
その正体は、国による突然の襲撃により生み落とされ、その後20年、光の見えない辛苦の中で生きた、名も無き”祭孤児”でした。
絶望の中で念能力に目覚め、「本物のモレナ」に成り代わることで、国家裏組織のマフィア首長のひとりになります。
生き地獄としてあった彼女の半生は、何よりも強く固い、この世界の破壊衝動を彼女に埋め込んでいきました。
縄張にもシノギにも、何にも縛られることのない掟破りの殺戮集団。
それが、他のカキン・マフィアから見たエイ=イ組の姿です。
しかし、今回のゲームを通して現れたモレナの姿は、どこまでもフェアで開けっぴろげな”親”(ゲームマスター)でした。
彼女の目的や手段は確かに恐ろしいものでしたが、それを偽ることなく、ストレートに”子”(ボークセン)に伝えます。
私は、モレナが見せたフェアネスは、見せかけのものではないと思う。
彼女は自分の思いを偽ることができない。
それは、裏で命を踏み躙るカキン国と同じになりたくないからかもしれない。
もしくは、彼女には「世界を破壊したい」という思い以外に、何もないからかもしれない。
人が自分を偽るとき。
それは、誰かに認めてもらいたいときです。
保身のために、見栄のために。守りたいものがあるからこそ、人は他人に・自分に嘘をつく。
でも、モレナには守るべきものがありません。
彼女は生まれた時から、愛を与えてくれる親もなく、守るべき地位もなく、寄りかかれる誉れも、財産と呼べるようなものは何一つありませんでした。
その虚無のなかで、彼女が生き永らえることが出来たのは、彼女に純粋な、曲がることがない思いがあったからではないかと思います。
「この世界は糞貯めで、滅亡させるしかない」というたったひとつの思い。その思いだけが、彼女を生きさせた。
ある意味で彼女は純粋です。抱えた思いの純粋さ以外に何もないからこそ、ノーガードに感情を曝せるのではないか。
そして、その純粋さこそが、一方で彼女の恐ろしさを作っています。
この先、モレナは変わらず只ひたすらに「カキンと人類の滅亡」に向けて進み続けることでしょう。
その達成のためであれば、仲間だって躊躇なく見捨てる。必要であれば殺す。ボークセンだって、これからも利用し続ける。
そして、誰のどのような説得にだって、応じないのだろうと思います。例えBW号の乗員全てが彼女に謝罪を申し出ても、彼女は船を沈めると思います。
なぜなら、彼女には守るべき倫理も無いのだから。
世界の滅亡を願うことが、間違っているのか正しいのか。モレナには、それをジャッジする価値基準すらありません。
彼女には、道徳や希望を教える親も社会も、何も無かった。
モレナを産み、支えたのは「人類の滅亡」という願いそのものです。
モレナは滅亡の化身です。
それが、このゲームを通して描かれたものだと思います。
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ボークセンという女
さて、ボークセンは、そんなモレナ達エイ=イ組の仲間になるようです。
ボークセンはモレナの純粋な破壊衝動に絆されて、共に破壊工作へと向かっていくのでしょうか…?
もちろん、違うでしょう。
交渉ゲームの始まり、ボークセンは次のように独白しています。
私はカキンが失くなったら困る
使命とか職責とか国防とか そんなの別にどうでもいいのだけれど
(中略)
小さな振り幅の人生を つつましく とどこおりなく送る予定だったのだ……だから非常に困る
あなたの背景には同情するけれど
私の周囲からいなくなってほしい人がいたとして…その手段に「殺人」を選択しようと思ったことはない
あなたが正直である事と その「目的」には全く共感出来ないことがわかって良かった…
その情報を元に
何としてもこの非日常を回避する
ボークセンは、モレナと全く違う思いを抱いて生きてきました。
自分の描く、穏やかで慎ましいライフプランに沿って、一生を凪で終えること。それが彼女の願いです。人生を通して世界を変えたいなんて、露ほども考えていない。
保守的で優秀な、足りるを知った、エリート公務員です。
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彼女が「Yes」を選んだ理由。それはゲームを無かったことにするよりも、エイ=イ組の懐に入った方が、「予定通りの世界」を確かなものにしやすいと考えたからではないか。
改めて振り返れば、エイ=イ組はとんでもなく危険です。
何を犠牲にしても世界を滅ぼす決心をした20数人。
このテロリストと、船は2ヶ月の航路を共にします。
エイ=イ組から離れることが出来れば、一時の身の安全は保たれるかもしれません。しかし遠からず、彼らは船を破壊するはずです。
エイ=イ組の野望を潰さなければ、ボークセンやBW号は、海の藻屑になる運命です。
混沌とした非日常を回避する。
ボークセンの思いが変わっていないとするなら、彼女はスパイとしてエイ=イ組に潜伏する道を選んだはずです。
純粋で残酷なモレナのもとで、ボークセンは、どこまでモレナを偽り続けることができるでしょうか。
もちろんモレナも、頭からボークセンを信用してはいないはず。先んじてのキスのお願いは、ボークセンに念を感染させ、監視塔としての役割を確実にしたかったものと思われます。
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今後も続くであろう、2人の腹の探り合い。
ラウンドツーも、すぐそこにある気がします。
*****
最後までご覧いただきありがとうございました!
ここ数回、自分はモレナの心情に思いを寄せる回になりました。
回を重ねるたび、モレナへの同情と同調が強くなってきています。
ヤバい気がします。
日本の漫画は、悪役が現実を突きつけて、主人公が理想を語ることが多いそうです。
年齢を重ねてもシニカルが抜けない私は、悪役にシンパシーを感じがちです。モレナというキャラクターは、私にとって、とりわけ大きな劇物になりそうです。
私はシニカルではあっても、このシニカルさを周りに撒きたいとは思ってはいません。むしろ、他者や物語を通して、それを克服したいと思っています。
冨樫さんの描く悪役は魅力的ですが、それ以上に、彼の描くヒーロー像も力強く真っ直ぐで好きです。
モレナに気持ちを惹かれつつも、彼女を打ち破るヒーローの登場を待ちたいと思います。
(現在amazonブラックフライデー。このフェイスタオル、バスタオル使いもできて便利)
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