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居酒屋 × 街ライブラリー、「あひる図書館」で待ってます。
こんにちは。
わたくし、何を血迷ったか、今年、
仲間とともに『図書館』を作ってみました。
しかも、居酒屋に。
なんのこっちゃ!
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『一箱本棚オーナー』型の図書館
って、知っていますか?
焼津の「みんなの図書館さんかく」(代表 土肥潤也氏)というところで始まり、そのユニークなシステムに全国規模でファンが拡大して、今や、全国にこのタイプの図書館が20館以上あるのですが。
何しろ『巻き込み力』が半端ない仕組みなんです。周囲は迷惑していないか、心配ですが😅
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申し遅れました。
私はこの「あひる図書館」を開設し運営している、子育て支援団体「一般社団法人 ママとね」の代表、中島あきこと申します。
子育てx図書館x居酒屋?????
なんでそんなコトになったのかを、今日はお話させてください。
本棚オーナーとは?
まず、この図書館の一番の特徴は、一箱一箱に本棚オーナーがいて、図書館という空間をオーナーさんたちと一緒につくりあげる、というところなんです。
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写真はオーナーさんの一部ですが、
みればわかる通りの老若男女で、地域の会社の社長さん、行政マン、子育てママ、サラリーマン、商店街店主、教師、アーティスト、飲食店オーナーシェフ等と、バックグラウンドも多種多様。
オーナーさんたちは、月2000円「支払って」本棚を借り、自分の好きな本をならべ、本を借りたい方は「無料で借りられる」という不思議なシステムなんです。
ハイ、本を貸すほうがお金を払うんです。
って、どういうこと??????
自分の本を貸すのに、お金を払うなんて!
こんなの、資本主義への挑戦だ!
システムがおかしい!!!
と言いながら、
オーナーのNさんは、複数の一箱本棚型図書館で、本棚オーナーされてますし(笑)。
僕は本は別に。あまり興味がないんですよ。 ←え。
でも、こんな変なシステムにお金を払う人たちって変でしょ?ぜったい面白い人たちじゃないですか。だから仲間に入りたい♥
という理由で本棚をかりた、別のオーナーKさんのような方もいるし。(23日のアドベントカレンダー担当!)
図書館にこめる思いはさまざま(笑)。
私が思うに、これは
本棚型のSNS、なんですね。
本棚に並べる本を通して、自分を表現する。
そして、本を介して、人と繋がる。
本当に繋がるんです。
一箱本棚で街とつながるライブラリー
本棚のラインナップをみていると、実に個性的。
カエル、犬、猫づくしといった推し系から、ビジネス選書、美術系オンリー、まちづくり、お遍路、着物、絵本や子育て本ボックスなど、ほんと、オーナーさんたち好き勝手に自分の趣味で置いてます。
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実際の本棚のサイズは32㎝四方で統一です。
だから、公設図書館や、売れ筋の書籍をおく本屋さんとは、全くちがう空間です。
眺めていると、
オーナーさんの個性がなんとなく伝わってくる。
「この本棚ラインナップ、私好みだわああ」
とか、
「このオーナーさんどんな方なのかしら?」
という興味がわいてくるんです。
つまり、そこにオーナーさん本人がいるわけではないのですが、
「本を介して」
時空を超えた、ゆるりとした繋がりができるんですね。
もちろん、たまたまオーナーさんがいらしたり、あるいは、おなじ本の趣味で、居合わせた人同士が話ができたり、リアルに繋がっていくこともあります。
なぜ、居酒屋に?
昨年からコロナ禍で、子育て層はますます社会から孤立化し、子育て層だけでなく、誰もが繋がる場を失いつつありました。
そんな中で、自分も読書が好きですし、
また以前より、子育て支援団体“ママとね”として絵本紹介など発信してきた我々は、
「本を通して人と人が繋がる場をつくりたい!」
と思うようになりました。
近隣で、図書館を開設する場所を探していましたがなかなか条件が合いません。
そんなとき、一緒にこの図書館プロジェクトを立ち上げ、“ママとね”の理事で飲食店「風土」の女将でもある徳丸さんが、「うちをつかって」と。
コロナで使われなくなった宴会場の一部をリニューアルし、図書館としてお借りすることができました。
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(楽寿園の南側の飲食店です)
飲食店内ですが、2階にある図書館は別施設ですので、お店が支度中の時間帯も読書の為だけにいつでも入れるし、
逆にお店が開いている時間帯は、階下の「風土」で、お酒やおつまみを買って、図書館内でくつろぎながら本を読むことも可能なんです。
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赤ちゃんや小さいお子様連れもウェルカム。
飲食持ち込みもOK、しゃべってもOK、勉強してもOK。
図書館は本をその場で読むだけなら無料、
借りる場合は、登録して貸し出しカードを作ります。(初回のみ登録料300円。キャッシュレス決済のみです。)
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繋がるチカラ
今でこそ、多くの人を巻き込み、
図書館もさらにオーナーさんが増え45人ほどの皆さんと走っている私たちですが、
中島個人の三島での出発は「孤独育児」でした。
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2009年に、生後4か月の娘を連れ、
夫の転勤でなんの縁もない、三島に転入。
転居の為、仕事もやめ、
母はとうに他界していて子育てを相談する相手はなく、ワンオペで、
泣き続ける赤ちゃんの対応すら分からない。
正直、虐待寸前でした。
美しい湧水である三島の源兵衛川も
私にとっては赤ちゃんを抱っこして、
泣きながら歩いた思い出の場所でもあります。
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だから、孤独のつらさを知っています。
繋がる大切さを知っています。
今年こうやって、子育て層だけでなく、地域のみんなが繋がるきっかけになる場所がOPENできたこと、
あの日の私の孤独は無駄ではなかったと、
今やっと思えます。
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本には、人を繋げる力があります。
本には、街とつながる力があります。
あひる図書館を作るのは、
”ママとね”ではなく、”みんな”です。
子育てママもパパも
一生懸命働いてる人たちも
じぃじもばぁばも
もしちょっと心が疲れたら
遊びに来てください。
静かに本を読んでいるだけで
いえ、ただ本棚を眺めているだけでいいんです。
ゆるく、街と、人と、
繋がれる場所がここにあります。
だから。
いつでもいらしてください。
今日も、あひる図書館で誰かが待っています。
***
▼あひる図書館
平日は10:30-17:00
金曜日は、夜も開館(19:00-21:00)
土日は不定期開館
▼一般社団法人 ママとね
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この記事は、三島の人達 Advent Calendar 2021
12月13日の記事です⛄🎄✨
今年のテーマは「三島で起きた25のチャレンジ」。
多様な人達による様々なチャレンジが生まれた2021年。それぞれの言葉から三島の魅力が伝わると嬉しいです!
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