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偏愛音楽。 追悼、Sergio Mendes。
「偏愛音楽。」、8回目は急遽予定を変更して昨日(9月6日)亡くなった、Sergio Mendesを取り上げます。
Sergio Mendes(セルジオ・メンデス)が亡くなりました。実は僕が恐らく「ブラジル音楽」として意識して初めて聴いたのが「Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil '66」でした。当時8トラックという媒体がカー・ステレオなどで使われていて、僕の両親が聴いていたのがこのアルバムでした。どうも僕の中のブラジル音楽はここで種が植えられたようです。
ブラジル音楽をしっかり聴くようになった後、Sergio Mendesについての評価が、コアなあるいはピュアなブラジル音楽のファンにとっては、あまり芳しくないことを知りました。ある方(N大王だったかな)には「そんなの聴いてるの?」と言われたり、ライブを観に行くと「そんなの観に来たの?」と言われたり、基本的にはSergio Mendesがあまりブラジル本国を顧みなかったことや、音楽がアメリカ的に流れすぎたこと、過度に商業的であることなどがそういう評価の原因であったようです。その辺の事情を当時僕はよく知らなかったので、とても意外に感じたことを覚えています。その後はまあそういう意見もあるでしょうと、納得している風にはしていましたが、やはり僕にとって、彼の音楽ははとても大事なものでした。
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ちなみに以下にSergio Mendesのバイオを掲載します。chatGPTで制作し修正したものです。
セルジオ・メンデス(Sérgio Mendes、1941年2月11 - 2024年9月6日)は、ボサノヴァ、ジャズ、ラテン音楽を融合させた独自のスタイルで国際的な成功を収めました。特に1960年代に結成した「ブラジル'66」で脚光を浴びました。「ブラジル'66」は、サンバやボサノヴァの要素をポップ・ミュージックに取り入れたことで注目されました。
Sergio Mendesはリオで生まれ、音楽のキャリアをクラシック・ピアノの訓練から始めましたが、ジャズやサンバ、ボサノヴァの影響を受けるようになり、その後独自の音楽スタイルを確立しました。1961年に自身のアルバム『Dance Moderno』でデビューした後、1960年代にアメリカに移住し、アメリカ市場での成功を追求しました。
彼の代表曲には「Mas Que Nada」や「The Look of Love」があり、世界中でヒットしました。ポップ、ジャズ、サンバを融合し、幅広い世代に支持され続けています。特に「ブラジル'66」はグラミー賞にノミネートされるなど、多くの賞を受賞しました。
その後も、世界中で活動を続け、2006年にはヒップホップやR&Bの要素を取り入れたアルバム『Timeless』をリリースし、若い世代のリスナーにも再び注目されました。特にブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムとコラボレーションした「Mas Que Nada」のリメイクが大ヒットしました。
セルジオ・メンデスは、音楽のジャンルを超えてグローバルな影響を与え続けており、ブラジル音楽のアンバサダーとしての役割も果たしています。
そして残念なことに表記の通り2024年9月6日、新型コロナ感染症の後遺症(Long COVID)のため、83歳でロサンゼルスの自宅で亡くなったとのことです。ご冥福をお祈りいたします。
さて、哀悼の意を込めて、彼のアルバムからセレクトしました。もちろんたくさんのアルバムの中には正直あまり感激しないものも多少ならずともあるのですが、でも素晴らしいアルバムもたくさんあるのです。その中から僕が好きなアルバムを10枚だけ選びました。試聴リンクとコメントを付してあります。ぜひ聴いてみてください。
*これまでの「偏愛音楽。」はこちらにマガジンとしてまとめています。
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In Person At El Matador (1965)
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サンフランシスコのナイトクラブ、"El Matador"でのLive録音。この作品では、彼のボサノヴァ/ブラジリアン・ジャズのピアニストとしての演奏が聴ける作品。初々しいWanda Saや、故Rosinha de Valencaがフィーチャーされており、ライブの熱気を含めて素晴らしい作品だと思います。
The Sérgio Mendes Trio Introducing Wanda De Sah With Rosinha De Valenca - Brasil '65 (1965)
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「In Person At El Matador」と同じくWanda SaとRosinha de Valencaが参加した1965年作。ジャケットの「南米から届いた、コーヒー以来最も偉大な入荷!」のコピーもよいです。Bud Shankが参加していて、キレッキレの演奏で花を添えています。ジャズボッサ時代の好演です。
Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil '66 (1966)
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ちなみに僕がご幼少のみぎりに、始めて聴いたBrasil音楽がこれでした。彼は本作でボサノヴァ/ブラジリアン・ジャズから、A&M流ブラジリアン・ミュージックに舵を切ります。しかしSergio Mendesのこの路線は、ブラジル国内外に多くの追従者を産み出したました。やはり今聴いてもかっこいい。
Sérgio Mendes & Brasil '66 - Look Around (1968)
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ブラジル'66の1968年に発表されたサード・アルバム。アメリカナイズされたポップなブラジル音楽路線を踏襲したものですが、バカラックの「Look of Love」をはじめ、煌めくようなコーラスと、躍動するビートが生み出すグルーヴは今でも素敵だと思う。
Live at the Expo '70 (1970)
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「大阪万博’70」での伝説のライヴ・パーフォーマンス。本作はその実況録音盤で、Sergio Mendes & Brasil'66としての日本での初ライブ盤。当時は日本と一部の国でのみ発売されたものだったようです。貴重なライヴ音源ですが、「貴重」だけではない熱気に溢れています。
Pelé (1977)
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PeléのドキュメンタリーのOSTをSergio Mendesが担当したものなのですが、メインテーマをPelé本人が作曲し、歌も歌ってしまったという、珍盤です。しかしGerry Mulliganを迎えた"Voltando a Bauru"、高速samba"Amor e Agressao"などの名曲もあり、笑ってばかりもいられない貴重盤です。
Horizonte Aberto (1979)
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この盤はSergio Mendes個人名義の、ブラジルに帰って作られた1979年の作品です。Sergio Mendesを1枚選べと言われたら、まず一番にあげたいぐらい好きな作品です。あまり注目を浴びたアルバムではないかもしれませんが、こんなストレートに気持ち良い音楽はそんなにないと思います。
Brasileiro (1992)
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Carlinhos Brownを中心に多くのアーティストが参加して、1992年に発表したアルバム。1993年の グラミー賞で最優秀ワールドミュージックアルバム賞を受賞しています。Carlinhosの参加による強烈なバトゥカーダで、新たな音楽性を模索したSergio Mendesの傑作の一つ。
Oceano (1996)
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全曲ブラジルの楽曲で固められ、強烈な前作「Brasileiro」とは全く違うメロウなサウンドを追求した、AOR的と言って良い作品です。この変わり身の速さも、今聴けば問題ないのでしょうが、ちょっと節操がないとも言えるかな。Caetano Velosoがゲスト参加していることも話題。
Timeless (2005)
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will.i.amをプロデュースにして、Brasil+ Hip Hopに取り組んだ意欲作。これは図抜けてカッコイイです。敢えてBrasilの曲はスタンダードなものを持ってきて、それ故soundでの新しさが光るというアルバム。ただ一つ疑問が。Sergio Mendesの後頭部から滴り落ちる汁は一体なんだ。解凍中?
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R.I.P
Sergio Mendes (1941.02.11 - 2024.09.06)