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同人サークル活動での本当にあった怖い話(実体験)34.原稿での失敗

もういくつ寝ると文学フリマ東京ですが、みなさん原稿大変でしたよね。


私は前に話した通り、原稿は半年くらいのスパンで計画しているので、締め切りギリギリって事はほぼないのですが、それでも同人誌を作る為に原稿している時の怖い話には事欠きません。


そんな原稿についての怖い話をします。



前回の話「同人サークル活動での本当にあった怖い話(実体験)33.基本ルールの確認」はこちら!



一枚足りない

それははるか遠い昔の話……具体的には私が十代前半の時の話です。

当時、まだPCは一般的ではなく、漫画やイラストの原稿はすべて手書き、小説の原稿はワープロ(ワードプロセッサ)で打ち込んで印字したものを、漫画の原稿用紙に糊で貼り付けた物を郵送、もしくは印刷所に直接持ち込んで入稿するような、そんな時代でした。


因みに時代的にもう一、二年すればPC(パソコン通信)が一般家庭に浸透する時代でしたが、私はめちゃくちゃ若い頃から同人活動していたので、ギリギリPCが一般化する前の同人誌活動を体験していました。



そんなワープロな同人活動の時代に、我が家は親父様が電化製品好きなオタクだったので、SHARPの書院ってワープロが自宅にありました。

そしてそれを娘である私に好きに触らせてくる人だったので、同人活動する上でめちゃくちゃ恵まれていました。



当時の原稿をカタカタと自分用のフロッピーディスクに保存し、ちまちまと書きためて、地元の小さい個人主催のオンリーイベント用に、地元の同人誌印刷をしてくれている印刷所さんに持ち込み入稿して、オフセットの同人誌を作っていた訳です。



そんな古の同人誌制作の時に、事件は起こります。

原稿をワープロで書き上げ、漫画用の原稿用紙にペタペタと印字した用紙を貼り付け、茶封筒に入れてせっせと印刷所さんに向かい、受付のお姉さんに原稿を預けました。


私は早割の更に早い時期に持ち込みしているので、焦りもなく余裕を持って原稿チェックして貰っていると、お姉さんが申し訳なさそうに言ってきました。



お姉さん「すみません。原稿枚数が一枚足りないようなんですが……?」
私「ええ?!すみません!!!」



びっくりつつも謝罪し、お姉さんに預けていた原稿用紙を受け取って、自分で最初から原稿を確認すると、原稿に抜けはありませんでした。


そう、原稿に抜けはありませんでした。


つまり、一枚枚数足りないまま原稿を仕上げていたんですよね。

抜けていてくれたなら、それをワープロでプリントして原稿用紙に貼り付けて入稿すればいいだけですが、そもそもが一枚足りない状態なので、足りない一枚分の原稿用紙を作りださないといけないんですよね。



当時十代前半の私は不測の事態に焦りました。

今の私なら、受付のお姉さんに謝罪して一旦家に帰り、ゆっくりショートショートでも書き下して再度入稿しろってなるんですが、当時の私はめちゃくちゃ焦ってしまって今すぐどうにかしなければならないって思い込んでしまった訳です。


どうするか。


当時の印刷所には、ありがたい事に原稿ができる作業スペース(応接室みたいな机と椅子に、筆記具が完備)がありました。

そこを借りて、予備で持ち歩いていた原稿用紙に、手書きで即興の後書きとイラストをしたためました。

焦りと意地から、ものの数分で作業を終わらせて、再度受付のお姉さんに手渡して入稿しました。

人間やればできるものです。



そして受付のお姉さんも慣れたもので、原稿枚数を間違えて焦る私を特段特別扱いするでも、慰めるでもなく、やんわり指摘して、急いで書き上げた原稿も普通に受け取ってくれて、それで終わりでした。



私にとって一世一代の失態でも、印刷所のお姉さんにとっては、いつものよくある光景だったんだろうなあって、今なら思います。



そんな失態を若い時分に経験したもので、以後私は原稿枚数のチェックに余念がなく、元々入稿日程に余裕を持って対応していましたが、より余裕を持って、半年計画で原稿をするようになりました。


若い時の失敗は魂に刻まれるので、得難い経験になったって話でした。

みなさんも、原稿する時は余裕をもって対応しましょう。





全差し替えの全処分

以前チラッと話した事がありますが、私は一度書き上げて入稿し、何なら印刷完了した同人誌を配布せずに一冊残らず処分した事があります。

その時の話をします。



あれはとあるジャンルでの話。
その時私はどうしても書きたい話があったので、私にしては長編の、それなりに分厚い同人誌を作りました。

分厚い分思い入れも十分あり、装丁にも力を入れようと用紙とかもこって入稿しました。



何度も言いますが、私は余裕を持って入稿するので、配布予定のイベントの二ヶ月前には手元に刷られた同人誌が届きました。


そこで上がってきた同人誌をチェックしていた頃に、SNSでちょっとした騒動が起こりました。

具体的に言うとジャンルが特定されるのでぼかしますが、著作権や知的財産に関する話がでまして「二次創作でもとある単語を使うのがよくない(権利違反)」と言う議論になりました。


「個人利用でそんな細かい事気にしてられない!」って人や「二次創作だからこそ気をつけるべきだ」って人で議論が白熱したのを、今でも覚えています。

何故覚えいるかというと、今まさに、刷り上がったばかりの私の同人誌内に、その単語がふんだんに使われた文章がバッチリ印刷されていた訳です。


死ぬ程悩みました。


今迄の労力、印刷諸経費、差し替えるにあたっての労力、再印刷する追加料金、今見たSNSの議論を見なかった事にして、このまま配布しようかとほんの少しは考えました。

しかし今も昔も私の信条は「法令遵守」です。

何より同人活動、特に二次創作は人に迷惑をかけていいジャンルではありません。


死ぬ程悩んだとしても、結果は変わりません。

法令遵守し、リスク管理を徹底しているため、私は刷り上がったばかりの同人誌の全在庫を処分しました。

因みに同人誌と言えど単なる冊子なので、資源ごみとして出しました。


あんなに手塩にかけて、こだわって作った私の同人誌も、ちょっとの事で資源ごみになる。

諸行無常を感じました。

そして少なくない損失(差し替えた原稿での再度の印刷費)を受けました。



しかしそんな苦労は微塵も外に漏らさず(漏らしたら絶賛議論勃発中のSNSで、気にする気にしない双方からそれぞれに攻撃されそうだったので)、静かに一人で処理しました。



注意

今回の在庫全処分について、これは当時の私個人の選択です。
あくまで私個人が権利元の権利を犯したくないポリシーを持っているのと、決着がつかない殴り合い議論中のジャンルで標的にされたくないリスク回避の為に、こういう選択をしただけです。
あくまで一例、あくまで判断の一助として読んで下さい。
二次創作、創作活動において、こうだからこうしなければいけないってのではなく、基本民事事案なので、これを読んだみなさんは、ご自身が属するジャンル、クラスタ、界隈で活動する際は、その権利元やルールを参考になさって下さい。



そんな訳で、この苦い経験を元に、私は自分が属するジャンル、クラスタ、界隈において、ルールの確認の徹底、わからない事については不用意に手を出さない、対人の事案は相手側に必ず事前確認を徹底するようになりました。

何をするにも絶対に許諾を取るようにしました。

本当にこれも得難い経験ですよね?(号泣)



そんな私が経験した、原稿にまつわる怖い話でした。


備えよ常に!
法令遵守!
注意一瞬怪我一生!


この言葉を胸に、みなさんもどうか余裕をもって原稿に当たって下さい。

そんな私の怖い原稿話でした。



次回の話「同人サークル活動での本当にあった怖い話(実体験)35.お付き合い」はこちら!

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