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樹木医になるには?-5つのハードルの飛び越え方Ⅳ-

 こんにちは。今回は「樹木医になるには?」シリーズの第4回目です。前回は樹木医試験の択一式試験とその対策について説明しました。今回からは、いよいよ論述式試験とその対策について説明をしていきます。


■ 論述式試験について
 樹木医に求められる総合的にバランスのとれた知識力・技術力・文章能力が審査されます。3問すべてに解答することが必須です。

【出題傾向】
 過去数年分の問題を見たところ、特定の分野に偏ることなく、出題に傾向は見い出せませんでした(10年分ほど確認すれば傾向が見えてくるかもしれません)。また、論述試験は全3問の回答が必須のため、得意な特定の分野にヤマをかけることもできません。

 個人的には、論述試験では「特定分野の専門知識」よりも「実務者としてどのように問題を解決し、考えるか」という姿勢が問われているように感じます。試験の主な目的は観察力や論理的文章力を評価することにあると思います。

 そう思う理由は3点あります。まず、専門外の分野でも、択一試験に合格できる基礎知識があれば、問題文のキーワードを膨らませる等により解答できる程度の難易度であること。次に、図や前提条件が提示され、それをもとに分析や考察を行い、論述する形式の問題が多いこと。さらに、さまざまなバックグラウンドの受験者が3問すべてに回答する必要があること。以上のことから、特定分野の詳細な知識を前提とする問題は出題されにくいと考えます。

■ 論述試験対策
【どう勉強するか】
 観察力や論理的な文章力が問われているのであれば、これらを養う練習が必要です。特に論理的な文章力については「普段からあまり馴染みがなく難しい」という声をよく聞きます。確かに自然科学分野に適した文章表現は、日常生活ではあまり意識されないものかもしれません。一方で、大学院生であれば、こうした記述は比較的得意なのではないかと思います。

 勉強としては文章を書く練習をするしかありません。意識すべき点は、「問題の読み解き」、「必要な情報の整理」、それらをベースに「論理の飛躍がない文章を書くこと」だと思います。筆者もこうした点を意識して論述の練習をしました。練習量は少なくても、これにより頭と手が論述モードになった気がします。

 問題の題材については、テキストに記載された知識があれば、なんとか最低限のキーワードは理解できるので、それを膨らませることで対応できる問題も多いと思います。そのため、余裕のある時にテキストを読み進めるのが良いでしょう。それでも必要な知識を完全に習得することは不可能です。本番では類推はもちろん、自身の経験を科学的に解釈してみたり、勘やハッタリを効かせる柔軟さや度胸が必要になるはずです。

 ちなみに、筆者が受験した際には「病害虫に関しての時事問題が出る」という噂があり、当時注目されていた病害虫や施策について調べましたが、実際には出題されず肩透かしに終わりました。しかし、大学の講義で学んだ知識から推測して解答を埋めることができました。


【論述のオススメ教材】

一つ目
樹木医研修受講者選抜試験問題集(平成30~令和5年度版択一式)
 択一で示した問題集が教材です。択一式と銘打っていますが、7~8年前は論述問題例や過去問が少しだけ掲載されていました(最新の問題集に掲載があるか、また解説が付いているかについては未確認です)。


また、調べたところ、近年は下記の教材も利用可能です。
二つ目
論述式問題の解答例と解説
 日本緑化センターの機関誌『グリーン・エージ』1月発刊号に、その年度の論述式問題の解説が掲載されているそうです。

三つ目
課題に答える文章の書き方 -樹木医試験の論述試験を例にして-
 日本緑化センター主催のオンデマンドセミナーです。「課題に答える文章」を書くための四つの手順(①課題の分析、②情報の収集と整理、③答えの作成、④文章の見直し)について解説しています。筆者が指摘した文章作成のポイントとも重なる部分が多いため、間違いなく有効な教材なはずです。

 論述対策、大変そうですよね。真っ先に出題される題材について気になることと思いますが、まずはご自身の論理的文章力を確認し、必要に応じてブラッシュアップしていきましょう。
 さて、無事に選抜試験に合格した暁には、つくばでの研修が待っています。

【参考文献】
一般社団法人 日本緑化センターhttps://www.jpgreen.or.jp/treedoctor/index.html


©じゅもくやん 2024.11.13

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