31(162)
仮面。ーーどこを探しても中身がなく、純粋なマスクの女性が存在する。ほとんど幽霊のようで、必然的に満足できないような人と関わり合う男は嘆き悲しまれる。しかし彼女らは男の欲求を最も強く刺激することができる:男は彼女の魂を探し求めるーーそしていつまでも探すのだ。
32(163)
長い会話としての結婚。ーー結婚をしようとする前には自らに問いを投げかけてみるべきだ:君は、その女性と歳をとっても愉快に語り合っていることを信じるのか。結婚生活での他のあらゆることは一時的であるが、大部分の付き合いは会話に属する。
33(164)
例外として両者(男と女)のどちらも、愛されなければならないのは自分の方だとという自惚れを説き伏せ、結果、両方とも自分を愛させようと欲する。そこから特に結婚生活において、多くの半ばアホらしくなかば不条理なシーンが見受けられることになる。
34(168)
愛の一要素。ーーどんな形の女性の愛の中にも、母性愛のようなものが現れている。
35(169)
というのも敬服する人は権力を承認する、つまり権力を恐れるのである:その状態は敬服である。しかし愛は権力を承認しない、分けたり、際立たせたり、上下の区別をつけられたいかなるものも承認しない。愛は敬服しないので、敬服されたがる人は、ひそかにあるいはあからさまに、愛されることに反発する。
36(172)
愛されたいと欲する。ーー愛されたいという要求は不遜の最たるものである。
37(180)
知性と道徳。ーー与えられた約束を守ることができるためには、良い記憶力を持たねばならない。同情を持ちうるためには大きな想像力を持たねばならない。そのようにして道徳は知性の品質と硬く結び付けられている。