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キム・ボラ『はちどり』


力強いメッセージを持ちながら、終始とても静かで穏やかな空気。物静かな表情にはクローズアップで迫りつつ、感情が昂ぶるシーンでは後ろ姿や少し引いた場所から傍観するような視点で見せているからかも。
団地の建物、部屋の間取りや90年代のインテリア、カセットテープ、絵のタッチ、丸文字、歌謡曲…。自分が見たことのある風景そのもので、韓国映画であることを忘れそうだった。そして映画自体は台湾の映画のような印象(数本しか観ていないのでアレだけど、湿度とか色合いとか瑞々しさとか、かな?)。
何れにせよ、中学時代に制服を着せられる国の子たちには、好きな服で好きな髪型で、メイクさえ許されている国の子たちとは分かち合えない共通の息苦しさがあるに決まってる!
おそらくは、フェミニズムや家父長制をテーマのひとつにし、主人公は14歳の多感な時期の少女だけれど、登場人物全ての「立ち場」に寄り添う視線が良いなぁと思った。家父長制の犠牲者は女性だけではないのだと気づかされた。
好きだったのは、家族が出払った昼間の静まり返った家に帰宅した時の空気感。そして、お茶が私の思うお茶の役割を果たしていたシーン!

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