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8年の社会人生活を経て、大学院に通い直した2年間の終わり
ついに2年間の大学院生活の最後を締め括る、卒業発表が先週末に終わりを迎えました。
まだ卒業できるかどうかが左右される卒業論文の提出をしていないけれど(早く書きなさい、わたし!)、その卒論の内容をテーマとしたプレゼンテーションとスピーチを行う「最終発表」がありました。
大学院での2年間は思ってたより大変だった
2011年の東日本大震災の発災とともに大学を卒業し、社会人となり、社会人になったと同時に私は社会起業家としての人生を歩むことを決めました。もう古株となりはじめた社会起業家8年目に団体を解散させることになります。
いつしか私はアウトプット過多になり、自分の中身が空っぽになっていくような感覚に苛まれ、これでは学びが足りぬと2年間「学びの期間」を設けるため、大学院に通い直しました。
2年前は、こんな選択をするとは思ってなかったなあ。
これは私が2019年の年末に書いたもので、入学して半年くらい?の大学院での感想noteです。そしてここからもう1年以上が経っている。
この2年は、平日も土日も学びに明け暮れたこともあり、これを理解し応援してくれた仕事仲間や家族には、感謝してもしきれません。
私のような働き方だと、平日の夜と土日にイベント登壇があったり、複業をしているメンバーとのミーティングが夜中に設定されることが多いこともあり、大学院の授業と仕事の予定が被りまくってしまいました。仕事を代わりに出てもらうことが多くなったり、そこまでの準備を手伝ってもらったりと、仕事仲間にはすごくフレキシブルに対応してもらいました。
今は家族と一緒に暮らしているのですが、平日の夜と土日はずっとオンラインで授業を受けたりグループワークや宿題をしていたこともあって、同じ空間にいたけれど一緒にご飯を食べることもあまりできず。
そしてようやく卒業を目の前に、そんな生活から解放されるのか!と安堵というか、肩の荷が降りたというか...。でも寂しいような。
学びの旅路は、歴史と世界を一周したような感じ
そしてこの学びの旅路は、自分と会社と社会と世界を行き来しながら、そして「私たちは何者で、どこへ向かうのか」を問い続け、哲学・歴史・宗教・東洋思想といったリベラルアーツをもとに、今の経済システムと社会を見つめ直す2年間でした。これからの世界を歩む上での大きな羅針盤を手にしたような、世界を見つめる地図を見つけたような気がします。
それも、各界で牽引し続ける出会うことのなかった教授勢の講義と、メンターや事務局のみなさんや、ともに2年をもがきながら熟議し続けた同級生たちがいてこそ見つけられたものだと思います。
卒業発表は、「⼈、組織、社会に⼤きな価値を⽣み出す挑戦の構想を描き、構想を語り、⼈の共感と信頼を得る」がお題として学生1人1人が8ヶ月にわたって全力で取り組んできたのだけど、1人1人がこれからそれぞれの企業で、分野で、フィールドで新たな社会変革を起こしていくだろうことを手にとるように感じたものだった。
みんな、めちゃくちゃすごかった。痺れた。
クラスの中で、いわばソーシャルセクターは私くらいしかいなくて、ほとんどが大企業に勤める30代の今まさに権限をもって挑戦する会社員であったこともあり、同じ「問い」であったとしても、その捉え方や答え方が異なって、とても刺激的で。
失礼を承知で言葉を選ぶなら、大人になってもぐんぐんと成長はするし、人は変わるんだ、社会が変わるかもしれないと目の前でその瞬間を何度も見た2年間でした。
卒業に向けて、教授や学生全員にむけたスピーチ(原文)
最終発表は各ゼミから代表が選出され、その代表10名が7分スピーチ+15分プレゼンをするというものだったのだけど、大学院の教授たちや先輩後輩、ゲストなど総勢170名が聞いてくださり、全員から投票とコメントがもらえる。わたしは代表として、以下7分のスピーチをした。
いつかの自分のために、原文をここに残しておきます。
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みなさん初めまして。
「SOLIT」株式会社 創業者、代表取締役の、田中美咲です。
私には、
愛おしくて仕方がない家族がいます。
私には、
いつも私の間違いを遠慮なく指摘し、熟議をかわす仕事仲間がいます。
私には、
想像力は奪えないんだと、失った街を目の前に活動し続けるクリエイターの友達がいます。
自由と平和のために、ミャンマーで命をかけて立ち上がる友達たちがいます。
気候変動により母国が沈んでいくと言われた島で暮らす、詩人の友達がいます。
今や世界が繋がり、繋がったからこそ、
多くの人と出会い、多くのことを知ることができ、
そして、気づかざるを得ない、見て見ぬ振りができない状況にもなりました。
知らなければ、気づかなければよかった、と正直思うこともありました。
でも、知らないでおこう、気づかないでおこうとは一度も思いませんでした。
私は、今、この世界や社会に対して、怒りや悲しみといった感情をいただいています。そして自分の不甲斐なさと、未熟さも、ともに感じています。
なぜ生まれ育った環境や、障害や、セクシュアリティや、信仰、体型など、
それらは私たちの「全て」ではないのに、それよって、こんなにも「生きづらさ」をかんじなければいけないのでしょうか。
私たちの幸せや、私たちの希望はどこにあるのでしょうか。
それでも私は、やっぱり、「諦めたくない」。
この思いが、心の奥深くに、あることに、気づきました。
それは、この世界には、目を奪うほどの美しい景色や、魅力が詰まった人々がいること。たくさんの感動を知っているから。
目の前にいる仲間たちが今まさに立ち上がり、
より良い未来にむけて旗を振ることに希望を感じているから。
だから私は、今、まさに、どうしても実現したいことがあります。
それは、
人間も、そして人間だけでなく、地球環境や動植物をも含めた、
だれも、どれも取り残さない「オールインクルーシブ」な社会です。
この夢のような目標は、
私が生きている間に実現できないかもしれない。
そして世界が終わるまでに、実現できないかもしれません。
でも、目指す価値は大いにあると思います。
私たちと、私たちの大切な人、大切な思い出や場所のために。
その実現したい世界に向けて、私は、まず最初に
世界中のほとんどの人が毎日触れ身近なもので、
そして川上から川下まで課題が山積みであるとも言われる
「ファッション」から、はじめました。それが、冒頭でお伝えした、「SOLIT」です。
私は、ファッションから挑戦しますが、私だけが立ち上がっても、
だれも、どれも取り残さない社会は実現できません。
今こうして聞いてくださっているみなさんが、それぞれの立場や場所で、ともに立ち上がる友人であってくれたら、とても心強いです。
最後に、私がいつもお守りにしている言葉を添えて、終わりにしたいと思います。
「力のない愛は無力、愛のない力は暴力」
時に私たちは、気がつけば競争し、急ぎ、その怒りや悲しみを表現するでしょう。そこに愛がなければ暴力となる。そして、守るべきものを守ろうと必死になるものの、力がなければ守りきれず、無力となる。
力と、愛。
経済性と、社会性。
利と、情。
どちらかに偏重せず、どちらも手放さず。
そんな人で私はありたいと思います。
追記:
最終発表で、「楽しそうにプレゼンしているのが印象的」と書いてあるコメントがあり、想いが伝わった気がした。
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