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暮らしの半径3キロ以内で、旅に出る

暮らすことと、旅すること。一見、対極にありそうな2つだけれど、共存している、と私は身に染みて感じる。私はいつだって、暮らしの中で旅に出ているんだ、と京都での暮らしを思い返してみてふと気がついた。

雪の日の大好きな景色

そんな暮らしに名前をつけるとしたら、「暮らしの半径3キロ以内で、旅に出る」という言葉がしっくりくる。たった3キロ、と思うかもしれないが、ぐるっと半径3キロで円を描いたら、想像以上にその範囲は広いことに気づくだろう。暮らしの中心となる家から外に向けて一歩踏み出せば、ささやかな旅は始まるのだ。

神社の境内を横切ってみる。

たとえば、毎週月曜日に行くと決めているスーパーに向かうとき。なるべく同じ道を通らないように、向かってみる。日用品を買うためにDAISOに向かうとき。半径3キロ内にある、ほかの店舗にあえて足を運んでみる。雪が降り積もったとき。いつも通っている場所はどんな景色になるんだろうか、とワクワクした気持ちで歩いてみる。

北に行くか南に行くか、で景色が変わる鴨川。

なんてことない、とるにたらない、私だけのささやかな旅。日常の中に「いつもと少し違うこと」を取り入れるだけで、「いつも」が「ちょっと違う」というささやかなスパイスになる。

あえて遠回りをして初めての道を歩いてみること。いつも通り過ぎるだけの雑貨屋に入ってみること。大型スーパーではなくて個人店で野菜を買ってみること。全部全部、半径3キロの範囲で楽しめる、日常に少しの鮮やかさをふりかけた旅というものなのだ。

天気がいい日の、大好きな景色。

または、同じ場所に違う時間帯に行ってみること。同じ場所に季節を超えて、ふたたび立ち寄ること。同じ場所に違う天気のときに行ってみること。同じ場所、でも私の目を通して広がる景色が違えば、それはもう旅なのだ。

夕暮れ時の、大好きな景色。

今日、ふとそんなことを感じて、いつもは昼に行くお気に入りの場所に、時間を変えて夕暮れ時に立ち寄ってみた。そうすると、いつもは逆光でまぶしかった街並みが、オレンジ色の光に包まれて、どこか優しく見えたのだ。光の当たり具合で景色は変わる。それはたしかに当たり前なのだけど、認識を超えて私の目で見て実感する、ということをもって、初めて本当に分かるのだと思う。

同じ場所でも、見える景色、感じることは全然違う。その違いが、わずかなスパイスとなり、日々を楽しくさせてくれるのだ。

日々の「いつも」を少しずらしてみて、「ちょっと違う」ことを楽しむ。それが、暮らしの中で旅をすること。暮らしをゲームのような感覚で自ら楽しんでみること。

単調にゆるりと続いていく日々の暮らしだからこそ、ときどき刺激のようなスパイスを混ぜてあげて。暮らしと旅を行ったり来たり。そんな日々を愛したい。

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misaki|散歩日和
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