ひかりこ日記112 魔法の力(ぱー4歳)
ぱーは、近頃、魔法の力を手に入れた。
「ぱーな、まほう、つかえんねん」
誇らしげに、コンビニの自動ドアの前に、立つ。
両足を開き、右手を前に出す。
その姿は、周囲を氷で覆い尽くす、雪の女王エルサさながら。
……何も、起こらない。
もう一歩、前に踏み出す。
……まだ、何も起こらない。
ぱーは、諦めない。
もう一歩前に出ると……
自動ドアの扉が、左右にあいた。
ぱーは、誇らしげに、そのままドアを通り過ぎ、差し伸べていた右手を、おろした。
ぱーの背後で、ドアがゆっくりと閉まる。
「ぱー、コンビのドア、あけられんねん」
この魔法の正体を、いつまでも知らずにいてくれたらと、願わずにはいられない。