ひかりこ日記77 初めての言葉？（たつ8ヶ月）

ナナ（おばあちゃん）と、チリ（おばさん）と、買い物に行った。帰りが思いのほか遅くなり、夕食も食べて帰ることになった。

たつの晩御飯がなかったので、ナナが、百貨店のベビー用品売り場で、離乳食を買ってくれた。
綺麗な瓶に入った、上品なオレンジ色の『野菜のおじや』だった。

初めて見る綺麗な食べ物に、たつは、いつも以上に大きく口を開けて、ぱくぱく食べた。
少し多いかと思われた中身をあっという間に半分以上食べたところで、
「おい…ち…」
チリはそれを聞き逃さなかった。
「今、美味しいって言った？」
「え？たまたまやろ？」
「もう一回やってみよう」

もう一口、おじやをもらうと、
「お…い、ち」
「やっぱり！」

たつが、喋ったとナナとチリは大盛り上がり。
「美味しいもの、わかるんやな！」
「たつ、もう一回言って！」
大人たちの勢いに驚いたのか、たつは、それきり黙ってしまった。

次の日、家の手作り離乳食を食べさせながら、
「おいしい？」
と聞いてみたが、返事は、
「だぁ、だ」

……あの「おいち」が、君の初めての言葉だったなんて、ママは断じて認めない。