[地域おこし協力隊✕図書室] 施設運営で考えること。踏み込みやすいか、顔を覗かせやすいか。
ー 私の管理する施設は、一見さんは入って来やすいだろうか。扉を開けておいてみたら? 人が繋がる場を作るための工夫はほんのちょっとしたことから。ー
こんにちは。
北海道で小さな町の小さな図書室を運営している、地域おこし協力隊です。
地域おこし協力隊になるまでのお話はこちらをご覧ください。💁♀️
図書室をまちづくりの場にできるように、トライ&エラーの日々を送っている。今日書くのは、その様々な取り組みたちの中で私がやってみて良かったと思っている“一番小さい取り組み“について。
図書室の扉を開けてみた。
私が着任した協力隊としてのミッションは、
図書室を本の貸し出しの場だけではなく
まちづくりの場としていくこと。
その上で、私は着任当初から小さな違和感を感じていた。
図書室、なんとなく入りにくい!
図書室は土足厳禁、扉はガラスで透明ではあるが、
遮光シートが貼ってあるので外から中の様子はあまり見えない。
そこで、ドアを開けてみることにした。
図書室は公民館の一階にある一部屋だ。
公民館の正面玄関を入ってすぐ、図書室の扉がある。
そもそも、図書室の扉というものは
本を外の砂や埃から守るために、普通、閉めておくものだ。
わかっている。わかっているが、あえて、開けておいてみた。
雨風が強い日、正面玄関の中までも外の天候の影響がありそうな日は例外だが、
できるだけ毎日、開けておいてみた。
コロナ対策の換気としても、開けておいてみた。
もちろん、本のことは気にかけつつ、掃除も増やして、様子は見つつ、
……たまに、トンボやハエや蝶が迷いこんでしまうことはあったが、、、
砂埃は思っていたより影響はなさそうとわかった。
それからずっと、図書室にいる間はなるべく開けておいてみた。
「よっ!」と顔を覗かせてくれる人が増えた。
すると何が変わったか。
公民館や事務所に用があって訪れる
通りがかりの人たちが
顔を覗かせて、私に声をかけてくれるようになった。
今まで町民の皆さんには
私と知り合った後で公民館を訪れた時も
正面玄関、つまりは図書室の前を通ることはあっても、
図書室の中が見えることはなかったし、私と顔を合わせることもなかった。
用もなければ(本を借りない)、
何か話すことがあるわけでもないんだから
わざわざ扉を開けるのも変だし……
ということだったと思う。
いや、そんなのは自意識過剰で、
私が図書室にいることも忘れていたかもしれないし、
皆さんが通っているのはただの公民館の玄関であって、
そこに図書室の入口があったことにすら気づいていなかったかもしれない。
扉が開いたことで、中の様子が伺えるようになり、
私がいるかどうかも分かりやすくなったようだ。
知り合いの皆さんは通りがかりついでに顔を覗かせて
「よっ!ちゃんとやってるか!」
「元気ー?」と声をかけてくれたり
さらには差し入れやちょっとした配り物をさらっと渡していってくれることも増えた。
さらには知り合いではない、私が繋がっていなかった人々も
教育委員会の事務所や公民館に訪れるついでに図書室の入口にもちらっと立ち寄り
「今度、協力をお願いしたいです。」とか
「広報見てます!がんばってますね!」とか
先方から挨拶に来てくださることも増えた。
扉を開けたことが、間口を確実に広げていると感じている。
人を動かしたいのなら、“人の気持ちを考える“
人の気持ちを考えることは、「思いやり」だけではない。
気持ちが想像できれば、人の動きが見えてきて
導線や物の配置、ルールやものの順序を考えることに繋がっていく。
私の前職はイベント制作業。
イベントを作るときには、人の気持ちや動きを考えるというのは
ごく当たり前にやっていたことだった。
例えば看板一つ立てるのも、適当には立てない。
「来場者はどこに目線がいくのだろう?」
→ここに注意書きの看板をおこう。
「注意書きがただ文章で書いてあっても目に入るだろうか?」
→注目度を上げ、自分ごとにしてもらえるように工夫しよう。
「こどもは見えないんじゃないか?」→サインの高さを低くしよう。
「暗くなったら見えないな。」→夜に点灯するライトを設置しよう。
こういったことは「行動学」や「仕掛け学」と分類されるだろうか。
(そんな〜学と呼べるほどのレベルまで行きつかないが、、、)
今回の図書室の扉も同じで
扉が閉じていて、さらに土足厳禁となると
「本に興味がない限り、扉を開けることはハードルが高い」のは容易に想像できる。
もし自分がここを通りかかる人だったら、
もし自分が本を読まない人だったら、
と相手の立場や行動を想像することが改善点や課題の突破口に繋がる。
これはいろんな場面で共通すると思っている。
とても単純で簡単なこと、ちょっとしたことでも
大きな変化を生むこともあるものだ。改めて噛み締めている。
なぜ今噛み締めているかというと、、、
……北海道に冬が来たのだ。
ここからはドアを開けてはいられない。
さあどうする、また新たな小さな工夫で乗り越えてけるだろうか。
〜〜〜
今日の一冊は、
社会を良くするのも、そんな身近な気づきや疑問からだと思わせてくれる本。
noteを書き終えると、
あー今日もまたごくごく当たり前のことを書いてしまったかーと思う、、、
けれど、毎回言おう、「当たり前のことこそ忘れがち」。
そんなの知ってるわ!って人ではなく
あ〜その視点を忘れていたな〜って人に届いてくれることを祈って。
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