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見上げればいつも四角い青空#6 那須にて影絵に浸り、沼る

初めて出会ったのはいつの頃だっただろう。

小学生になるかならないかそのぐらいのころだったように思う。出会ったころは、暗く物悲しい印象を持っていたことを憶えている。
今、改めて観ると、その当時の影絵は、主題と比べると随分と大人びた絵で、今風に言えば「大人の・・・」とタイトルをつけたくなるような、そんな絵だった。

ボクが出会った当時、黒い影と白い光の作品に、原色の光が入り始めたころだったようだ。オリジナルのモチーフである小人や目が大きく描かれた人物像と風景を、物語の解説文と一緒に読み進めていた。

これらの作品が、藤城清治氏の作品だと自覚して観ることができたのは、『うちのおくさま』に誘われて、銀座で個展を観たほんの5年ほど前だ。幼かったころからしばらく出会う機会を持てずにいたが、改めて出会った影絵は、影はより細かく、色を含んだ光は色の変化もより繊細に、そして美しくなっていて、ほんとうにおどろいた。

今回、縁あって、那須の藤城清治美術館を訪れる機会を得た。

入り口から作者の世界観に浸れるように設計された館内は、順路を強く意識しないように設計されているようで、意図せずに様々なテイストや時代の作品を観ることができる。

主題も、童話に始まり、人物や宗教画、オリジナルのモチーフである小人やケロヨンを配置したものなど様々だ。その中には、写実的で、メッセージを含んだ作品もたくさんあり、順路が定まっていないことと相まって、夢と現を行き来しているような感覚に陥る。

そして、ときに、大きな仕掛けを施した大作に突然出会い、目を見張り、息を飲む。

ボクは、館内のいろんな時代やテイストの影絵の世界に浸かり、時が経つのを忘れ、幾度も往復するほどの沼にはまり、至福のときを漂った。

氏は、今年4月で100歳を迎えられたと聞く。その衰えない創作意欲にただただおどろくばかり、そんな時間でもあった。

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