私のいた日々を
風のまたたきに手を伸ばして
触れた柔らかさに涙した
うつろいはものがなしく、緑もまた朽ちていく
白く染まり、心は臥して小さく小さく眠りを望む
美しいまどろみ
優しいぬくもり
うつつの寒さなど知りたくもない
悲しみがおしよせる
積み重ねた年齢が、無為の痛みになって降り注ぐ
なにかあったわけではなく
どこへいけたわけではなく
立ち止まっているだけなのに
世界はうつろい、空気も風となって体を避けていく
どうして、どうしてと疑問があるわけでもないのに問い続ける私
答えが欲しいわけでもないのに望み続ける私
高い視界は心に孤独を映し
幼い視線は素直な嗚咽をこぼす
風がまた冷たくなった
日は茜色すら失い、銀色の斜陽が世界を薙いでいる
冬がきた
私はまだ、ここにいる