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5月は豆ごはんを食べよう。

夏だ、夏が始まった!


「料理ってたのしいね。」息子がつぶやいた。3歳の彼が今日作ったのは、豆ごはんである。スプーン練習中の一歳の娘は、もどかしくなって手づかみで顔全体をつかって豆ごはんをもりもり食べた。野菜オタク母ちゃんとして、こんなに嬉しいことはない。

私は豆ごはんが大好きだ。豆ごはんを食べなきゃ夏はこない、と思っている。それは5月の暦の上での夏のはじまりと共に登場する「初夏を告げるお野菜」だからである。夏だ夏だ!さぁ大好きな夏がはじまる。まずは、豆ごはんをつくろう。

豆ごはんは家族の思い出


幼稚園から帰って、おばあちゃんと裏の畑のグリーンピースを収穫した。そして、母とおしゃべりをしながら「ポロんポロん」と剥いていく。

豆を剥いて炊いただけの豆ごはんが、3歳か4歳ぐらいの私にとって「料理ってたのしい」と鮮明に思った最初の料理である。ほっくほくの豆ごはんを家族で頬張りながら「わたしがつくったのよ」と偉そうに自慢した。

収穫する時にハサミを持たせてくれた、もう会えないおばあちゃんの手。ボウルからいくつも豆を転がす私を笑う母と、炊飯器を開けてしゃもじで混ぜるのを手伝ってくれた父。豆ごはんが嫌いで、なにがなんでも一口も食べない2番目の姉。

豆ごはんはつまり、そんな思い出を全部ひっくるめて私の「たのしかった料理」になった。

むずかしい料理なんかじゃなくていい。こんな簡単な料理が一番、いつまでも子どもの心に残るのだ。

赤ちゃんの頃から野菜に触れるということ

「料理ってたのしいね」と言った息子は、ボウルにむいたばかりの豆をクルクルまわしたり、ピタゴラスイッチが始まったり、ラップの芯を滑り台にして大量に転がしたり。

もはや料理ですらないんだけど、今はこれでいい。

こうやって0歳の頃から当たり前にキッチンにいて、普段からお野菜を触っている彼は、イヤイヤ期も関係なく色んなお野菜を食べる。

ひとしきり触ったりかじったり、料理をちょっぴり手伝ったりした後「うーん、たべてみる」と言ってなんでも食べるのだ。

豆ごはんをつくる。野菜屋だった私の2つのコツ


2合のお米に、お塩を小さじ1。目盛までお水を入れたら、最後にさっき剥いた豆を投入。スイッチを押したらあとは待つだけだ。炊きあがったほっかほかご飯に混ざる、ぷくぷくの鮮やかみどり。なんとも言えない、青いお豆の香り。幸せだ。

豆ごはんを作る時に、大事なポイントが2つある。それは「1日も早くつくる」「豆は多いほど、うまい」ということ。これさえ守れば、お塩を入れ忘れたって全然いい。

スナップエンドウや絹さやもそうなのだが、みどり色のおまめさんは鮮度が命だ。これは意外と知らない。朝採りのとうもろこしが、生でかじっても驚くほど甘いのはご存じだろう。同じなのだ。

特に、グリーンピース、うすいえんどう、そら豆は買ってきたらその日のうちに食べるのが一番甘い。

お野菜を販売するお店で働いていた時、私があまりに全員のお客様にもしつこく言うもんだから、今でも豆を見ると私を思い出す、と当時のスタッフからつい先日ラインがきた。

それから「どれぐらいのお米にどれぐらいの豆をいれたらいい?」とよくお店でも聞かれた。ずっとぶれずに私の答えはひとつだ。「多ければ多いほど、おいしい。」そうよね、とマダムは笑ってもう一袋かごに入れて買って帰る。

豆ではじまる、わが家の新喜劇。

息子が剝いているうちに「ぽろん」と豆が一粒、逃げた。さてさて、これが今日の小さな新喜劇のはじまりである。

すかさず娘が口に入れて、私が慌てて口から取りだした。まだ1歳になったばかりの彼女は、すぐに口に入れてしまう。と、その硬い豆を机の端に置いて娘の世話をしていたら、息子がひろって口に入れた。

自分がお茶碗からこぼした豆だと思ったらしい。息子は慌てて口からポイっと出して笑った。「これ、ぼくがおとしたやつや~ん」。
とか笑ってる間に、最後に夫がパクっと食べた。ペッと出して「ねんでやねん」と笑った。いや、こっちのセリフだ。

ほんっと次から次に、こ奴らは。きつねが食べて、たぬきがたべて、最後にやってきたのは犬の・・・みたいな、なんかの日本昔話か!

豆ごはんは心に残る、立派な家族の料理だ


あぁ今日の豆ごはんもハプニングいっぱいで笑った笑った、おいしかった。子どもと豆を剥くのはたのしい。お米を研ぐのもお水を注ぐのも、炊き上がりの蓋を開ける瞬間も、目をキラキラさせて喜んでくれる。

料理って、こんな簡単なことでいい。まずは5月の豆ごはんを家族で食べよう。この豆ごはんは、小さな思い出になる。

まぁそんな感じで、今日も愉快なわが家。「愉快、愉快」と声に出して呟いた後、ふと思いついてサザエさんのエンディングの真似をしてみる。「タタンタンタタン、タタンタンタタン、タタンタンタタンタンっ」。3歳息子、よちよち歩きの娘、最後に夫。全員もれなくついてきた。あぁたのしい。

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5月12日現在、109いいねを頂いていたのに、誤って削除しました。そのため再投稿します。コメントくださった方、本当にごめんなさい。。

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