CARTUNE、LIPS、Mirrativの3社で「コミュニティサービスづくり」のトークイベントを開催しました!
2018年9月3日、ミラティブのオフィスがある「SLACK SHIBUYA」にて、『CARTUNE』『LIPS』『Mirrativ』を運営する3社のトークイベントが開催されました。
イベントテーマは「急成長スタートアップ3社が語るコミュニティサービスづくりのすべて」。コミュニティサービス立ち上げ当初の話や、急成長の秘訣、これからの展望などがたっぷり語られたイベントの様子をレポートします。
開会のご挨拶
軽食(大量のお菓子!)とお酒を用意したフランクなトークセッション。
イベント開始前から和やかな空気が漂っています。
イベントのスタートは19時30分。ですが、会場の「SLACK SHIBUYA」の場所がちょっとわかりにくいかも…とのことで、スタートを5分遅らせることに。
(ミラティブのある「SLACK SHIBUYA」への行き方については下記で詳しくどうぞ!)
結果、5分後満席に!
最初に司会進行のマイケル株式会社 代表取締役 福山誠(@fukuyamakoto)さんより、イベント開始のご挨拶です。
「コミュニティのイベントですので、ドンドン質問などもしてください。カジュアルに飲みながらやっていければと思います。よろしくお願いします!」
LIPS立ち上げ時から現在に到るまでの5つの壁
トップバッターは『LIPS』を運営する株式会社AppBrew 代表取締役 深澤雄太(@YFuka86 )さん。
コミュニティサービスを立ち上げる時のあるある話や、壁にぶち当たった時の突破方法について話してくれました。
1.コンテンツがないと人が残らない「鶏・卵」問題
まずはコンテンツがないと、人が残らないという問題に遭遇しました。そこで、有償のモニターを募集して、ユーザーに近いような人に投稿してもらいコンテンツを集めることにしたんです。5,000投稿ぐらい集まったあたりからオーガニックの投稿が増えてきました。
2.モニター投稿が終わるとまた人がいなくなる問題
有償のモニター投稿が終わってしまうと、またコミュニティに人がいなくなってしまいます。そこで、普段InstagramやYouTubeを視聴している20代前半のユーザーを獲得すれば流動性が産まれるて数字良くなるのではとの考えました。結果として、YouTuberなどのインフルエンサーからファンの獲得に成功しました。
3.アプリ未経験チームのためデータが取れていない問題
アプリの未経験チームだったため技術面の問題に遭遇しました。これについては、自分でレッドシフトを使って分析基盤を構築して解決しました。詳しくはテックブログをご覧ください。
4.新機能を作ったけれども使われない問題
新機能を作ることに労力を使ったものの使われずに効果が出ませんでした。ほとんどの人が通る機能であるオンボーディングやトップ画面の改善をひたすら回す方が効果があることが判明し他ので、そちらに注力するようにしたところ数字が伸びるようになりました。
5.日間リテンションレートが伸びない問題
アプリを運営するかで、日間リテンションレートがなかなか伸びないという問題に直面しました。しかし、ユーザー動向を見ていると、メディアというよりはショッピングよりの使われ方をしていたことがわかったんです。見るKPIを変えてユーザー基盤を広げることを決断しました。最初に決めたものがすべてではなく、柔軟に対応していくことでユーザーを増やすことに成功したのだと思います。
おサイフ的にも、もっとクルマを楽しめるようにしたい
次に、クルマコミュニティアプリ「CARTUNE」を運営している福山さんから、「CARTUNEのなりたちとこれから」についてお話がありました。
「ソーシャルランチ」「MixChannel」「CARTUNE」と3つのコミュニティサービスを手がけてきた、福山さんは自身のことを「3年に一度コミュニティ作るおじさん」と表現。自身が代表を務めるマイケル株式会社も「コミュニティサービスを作りまくる」会社と紹介します。
「CARTUNE」のテーマは立ち上げ当初から変わらず、クルマなどの好きなものを自慢できる場所をスマートフォンの中に作ることです。
提供している価値としては、「CARTUNEがあるからこそ新しい仲間ができる」部分にあります。パソコンよりも新規参入のしやすいスマートフォンでサービスを出せたことがユーザーに刺さった要因だと思っています。ただし、CARTUNEは仲間だけを集めるサービスではなく、ユーザーの投稿からカスタムの知識やヒントをえられたり、パーツの商品情報を探せたりできるサービスにもなっています。
技術面の話としては、「Flutter(フラッター)」を使ったアプリ開発をしています。日本でFlutterを流行らそうとも思っています。
また、画像認識の技術を応用して、ナンバープレートを隠したり、タグ付けをしなくてもコンテンツをまとめられたりする機能の開発もしています。CARTUNEでは、ユーザーが趣味を楽しめるようになるために、様々なテクノロジーを活用しています。
CARTUNEのこれからとしては、No.1のクルマコミュニティになれたということで、マネタイズを視野に入れているところです。クルマをカスタマイズすることは結構お金がかかるので、この経済合理性を出していく部分でマネタイズができたらよいと思っています。
初期Mirrativで経験したアンチパターン
最後にミラティブの赤川隼一(@jakaguwa)が登場。「初期のMirrativで経験したコミュニティ0->1のキモとアンチパターン」について、具体例を交えて紹介します。
「コミュニティサービスには反直感的な部分が多く、一見正しくなさそうに感じることが実は正解なことが多い」と話す赤川。
具体的に、ミラティブで踏んできた失敗例を共有しました。
Mirrativは「友達の家でドラクエをやっている感じ」をコンセプトとしたスマートフォンゲームのライブ配信サービスです。アクティブユーザーの20%以上が配信者になっていて、投稿ハードルが低く、みんなで配信し合っているのが特徴です。最近ではスマホ1台でバーチャルYouTuberのように配信できる「エモモ」をリリースしています。
失敗例1.有名人マーケティングやPR
ターゲットではないユーザーがノイズになってしまい、初期のコミュニティサービスに必要なオーガニックユーザー・真のターゲットユーザーが伸びているかどうかの検証がしにくくなってしまいます。
初期に必要なのは「やっと俺のためのサービスができたな」というユーザーの熱量です。ここの反応にフォーカスして見る必要があります。また、有名人がいると「自分が投稿しなくてもいい」という思いから、投稿ハードルが上がる可能性もあります。
PRや有名人マーケティングはかっこいいけれども、そこはプライドをグッとこらえてユーザーさんと向き合うのが大事です。
失敗例2.投稿者・閲覧者双方への積極アプローチ
最初に大事にするべきのユーザータイプは、「投稿者と閲覧者を両方やる人」です。クックパッドや食べログ等の有名サービスだって、最初は検索したってコンテンツがなかったはず=閲覧者型のユーザーへの価値が作れるのは時間がたってから、ということが多いです。最初期のコミュニティ立ち上げに重要なのは、「閲覧者がいなくても書きやすいから投稿する」「自分の投稿を見てもらうための足跡をつける」といった、自分が発信者でもあり閲覧者でもある人を愛でていくことだと思います。
失敗例3.高い目標数値を設定する
コミュニティ立ち上げ時は成長率と熱量に関わるKPIを重視するべきです。目標設定としては、「一ヶ月で3万WAU目指しましょう」といった絶対数よりも、「毎週7%伸ばしましょう」と追いかける方がよいと思います。最初のアクティブユーザーは少なくても、極論50人でも100人でも、毎週伸ばしていく環境を作っていく方が大事です。
Mirrativでは、1人あたりの配信時間が伸びていくかを見ていました。
0->1立ち上げたい人募集中!
赤川は、「コミュニティには反直感的な部分が多いからこそ、説明コストのかからないシンクロ率の高いチームで作ると楽しい」と話します。
共感する方はぜひ一緒に働きましょう!
パネルディスカッション
続いてはパネルディスカッションです。事前に来場者の方から寄せられていたテーマについてディスカッション開始!
別々のコミュニティサービスを提供する3人が、サービスを開始した理由や重要視している指標について語りました。
ーーなぜこの領域に決めたのか
深澤さん:
色々なサービスを立ち上げた中で、最初にうまくいったのがLIPSでした。共同創業者の松井がユーザー目線でニーズがあるのではとアイデアを出してくれたので、そこからリサーチして決めたって感じです。
赤川:
僕は高校生の時に、チャットルームに行くと大人が知らない音楽を教えてくれて人生が豊かになった原体験がありました。これまでも趣味で繋がるサービスが好きで色々作ってきた中で、Mirrativがタイミング的にぴったりハマったというのがあります。
ゲームの配信サービスである「Twitch」は2014年時点で1億アクティブユーザーいたけれども、PCユーザーとコンソールゲームが中心の構造でした。モバイルゲーマーの方がPCユーザーよりも多いから、絶対これが来るという思いで始めました。
その頃にAndroidのAPIを使えばスマホだけでリアルタイム実況できるのを見つけたので、全張りしたというのがきっかけですね。
福山さん:
僕の場合は、「めっちゃクルマ好きなんですね」ってよく言われるんですけど、実はクルマ持っていないんですよ(笑)
コミュニティサービスを作ろうって決めた時に、どのようなコミュニティがあるか考えて、1番時代の流れ的に空いていて、熱量もあって、スマホリプレイスがしやすいという部分があったので始めたという感じですね。
ーー最重視している指標は?
福山さん:
最初はリテンションが低かったので、ユーザーを獲得しながら徐々に改善していきました。やはり投稿の賑わいがあるとユーザーがリテンションするなという感覚があります。その状態を作るために「投稿者のリテンション」を追っていました。
そうすると、「ライク」や「フォロー」をどうやってもらうかが重要なんですよね。1番よいのは投稿した瞬間にたくさん「ライク」がつく状態。そのために画面の設計などをリニューアルしていって、リテンションが上がっていったと思います。
赤川:
ライブ配信の場合は、スタートしてすぐに反応がないと配信が終わってしまいます。なので、反応を受けられているか、はシビアに追っていました。リリース当初に人がいないときは、その解決が極めて難しい。運営アカウントで話しかけに行くような地道なこともたくさんやりましたね。
深澤さん:
指標ベースでいうと、投稿する人のリテンションレートが高いのでCARTUNEさんに近いです。CARTUNEさんは最初に愛車登録することで投稿するフローが作れていると思うのですが、LIPSだとまだロム専が多いのが現状です。なので、投稿する動機付けをするのが難しいと感じています。
そこの割合をあげるために、アプリダウンロード後24間以内の投稿率を重要視してやっていました。
来場者からのQ&Aタイム
続いて、来場者からスピーカー3人への質問タイム!
「なんでも聞いてください」とのことで、来場者から積極的に質問が飛び交いました。
来場者から挙げられた質問と登壇者の回答をいくつか紹介します!
Q.コミュニティには古参ユーザーがいると新規のユーザーが入りにくいという問題の対策はどうしているのでしょうか。また、悪意のある投稿者への対策もあれば教えてください。
福山さん:
古参問題は発生するリスクなのですが、基本的には新着で出てくるものがコミュニケーションのメインストリームなので、新規の方の投稿と平等さは保っていると思います。それでも長期的に見れば古参問題はあると思いますが……。
パトロールの観点で言うと、クルマコミュニティの中でもクルマ以外の投稿が増えていくこともあります。車体認識でクルマなのかそうじゃないのかで露出度コントロールしたり、新着には出ないけどフォロワーにはでるようにしたりしています。それはそれでフォロワー同士のコミュニケーションのきっかけにもなっているとは思います。
赤川:
ライブ配信は熱量の上がり方が早すぎて、リリース2か月で「昔のミラティブはよかった」と言い始めるユーザーが出ました(笑)。これはサービスごとに流派があるところですが、僕らはヒエラルキーが出すぎないようには意識して運営しています。
パトロールに関して、荒らしとかはきっちり対応するのですが、ユーザーからの想定外のアクションに関してはむしろサービスの未来へのヒントがあるという気持ちで見ます。エモモも、ユーザーがゲーム実況ではなく殺風景なコメント画面を映して「雑談」を大量にしていたのを見て、「Mirrativじゃなくても他の配信サービスでもできる使い方じゃん」と最初は思っていたのですが、だったらここに身体をつけてあげた方がわかりあえるのでは、という着想から作られています。
Q.CARTUNEやLIPSでは、会員登録をしなくても投稿できるようにしていると思いますが、それを実施すると初期の反応って違いますか?
深澤さん:
実は最初の方はダウンロードしたら登録するようなシステムにしていました。その時の通過率は4割ぐらいだったと思います。結局会員登録って、最初の段階で意味のない情報を入力させていることが多いんですよね。引き継ぎ情報は必要ですが、それは後からでも登録できるものなので、ダウンロード直後には必要ないと思い会員登録フローをなくしました。
登録率の概念がなくなったので具体的な数値をとっている訳ではないのですが、効果は出ていると思います。
福山さん:
会員登録の簡易化フローとして、ソーシャルログインを入れるって方法もありますよね。それだけでも投稿へのハードルは下がります。でもそれでもめんどさいって場合もあるので、端末側の認証情報を信じて投稿できるようにはしていますね。
お酒を飲みながら懇談会スタート!
トークセッション終了後は参加者と一緒に懇親会スタート!赤川の挨拶でカンパーイ!!
参加者には事業を立ち上げている方やエンジニアなど、コミュニティ設計に関わっている方が多く、自社プロダクトに関しての具体的な話で盛り上がっていました。
「Facebook教えてください!」などの会話も飛び交い登壇者・来場者のコミュニケーションも盛んに行われていました。
以上、「急成長スタートアップ3社が語るコミュニティサービスづくりのすべて」をお届けしました。ご来場いただいた参加者のみなさま、ありがとうございました。
それぞれ別のコミュニティアプリを提供している3社でしたが、コミュニティ作りの初期段階や重要視している指標などに共通点もあり、我々にとっても興味深いイベントになりました。これからもトークイベント等ありましたら告知いたしますので、ぜひ足を運んでみてください。
またミラティブでは、バーチャルYouTuber「エモモ」のほかにも、今世の中にない新規事業的な新たな動きもまだまだ控えています!代表といっしょに0->1を立ち上げたい方。絶賛募集中です。ご応募お待ちしています!
最後に……。
ミラティブステッカーも配ったよ…!
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