幸福
なんとなく、ついてなくて、
落ち込みそうになったり、
不安になったとき。
私は、宇野千代のことを思い出す。
人生で四回の結婚と離婚を経験し、
家も何軒も建てては、手放し、
会社だって、自分で作ってしまった。
田舎娘が、なぜそこまでの女性になったのか。
彼女の自伝的小説を読むと、
ただただ人生を駆け抜けた、
からっと明るく、思うがままに生きてる姿がわかる。
自由奔放、天真爛漫。
そんな言葉が似合う。
好きだという気持ち一つで、
他はなにもみないで、行動してしまう。
後先かまわない姿は、
愚かとも、図々しいとも、
とれるかもしれないが、
童女のようにあっけらかんとしてる。
宇野千代の私小説にも、エッセイにも、
そんな幸福論があふれてて、
単純な理論だけど、
行動してきた人にだけ宿る言葉の力があって、
私は何度読んでも好きだなと思う。
これが、行動や経験の伴わない人の、
ただの理想論だったら、
何の魅力も感じないし、惹かれない。
失恋して、悲しくて、
わーわー泣いて。
3日間くらい、沈み込んで。
あとはケロッとして、
またおしゃれして、街に出る。
そんな、宇野千代の生き方が好き。
今日、不意に思った。
あれほどポジティブシンキングの宇野千代だけれど、その底に流れるのは、
明るい孤独、
孤高があったのかもしれないと。
破天荒で自由のように見えて、
決して、平凡な幸せに終わる人生ではなく、
むしろ人並みの幸せから遠く生きてた人のように感じる。
人生を達観して、孤独を受け入れて、
その上で、
いかに面白く、たのしく、美しく生きるか。
どうせなら、楽しく生きよう。
だから、ナルシストや自己満足だけで終わらない、小説やエッセイになっているんだと思う。
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