コロナテック⑥新型コロナで低迷する観光業界と好調な観光関連スタートアップまとめ
はじめに
こんにちは、Marketing TeamのMireiです。
突然ですが、これまで5本コロナテック記事で紹介したスタートアップの総数が20社になりました!コロナテックシリーズは10本の記事で50社を紹介するのがゴールなのであと30社!まだまだ多方面で活躍するコロナテックスタートアップご紹介していきます。
Plug and Playのシリコンバレー本社は、先日 "The Impact of COVID-19 on The Travel & Hospitality Industry" という記事を公開しました。こちらには新型コロナウイルス感染症が観光業界へ及ぼした影響と、この状況下でも観光関連スタートアップがまとめられています。今回は「新型コロナで低迷する観光業界と好調な観光関連スタートアップ4社」と題して、本社記事に載っているスタートアップ紹介文の翻訳に日本の観光業界の現状に関する解説を加えてお届けしていきます。
観光業界では世界的に毎月1.5兆円の旅行消費が消失し、7520万人が雇用を失うと推定されている
世界の旅行・観光業界の民間セクターを代表する世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)によると、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大は観光業界に大きな影響を及ぼしています。
特に直近の3月から4月の観光予約状況は、前年比約30%と大きく落ち込んでおり、毎月1.5兆円の旅行消費が消失すると推定されています。
この旅行消費の減少は観光業界の雇用に大きな影響を及ぼします。WTTCは、世界的に7520万人が仕事を失う可能性を示唆しています。地域ごとに見ていくと、アジア太平洋地域の雇用消失が4870万人と最も深刻で、アメリカ、ヨーロッパが後に続きます。(下記グラフ参照)
(出典 : WTTC)
観光業界の雇用者の総数が2018年時点で約3億1900万人だったことに基づくと、世界全体の観光関連雇用の約20%がリスクにさらされていることをWTTCの分析は示唆しています。
日本の観光事業も見通しは厳しい
世界全体を見回しても特に大きな影響を受けると言われているアジア太平洋地域ですが、日本の観光業界は、新型コロナウイルス感染症は長期化するという見方を示しています。
エイチ・アイ・エスは3月2日、2020年10月期の連結売上高の見通しを1250億円下方修正しました。重症急性呼吸器症候群(SARS)やMERSが流行したときと同様、新型コロナウイルス感染症も終息まで半年程度かかり、7月まで影響が及ぶと仮定して算出したようです。
ホテル業界に注目してみると、京王プラザホテルは、2月の稼働率が41.9%と、前年同期比で約34ポイント低下しました。リゾートトラストは、20年3月期の連結売上高を114億円下方修正しました。
一方で、経営者が柔軟な判断をしたため好調なスタートアップも!
Plug and Playシリコンバレー本社で観光領域のスタートアップを担当しているKristi Choi氏は、次のような見方を示しています。
“残念ながら、多くのスタートアップは、新型コロナウイルス感染症拡大により難しい局面を乗り越えることができずにいます。多くのスタートアップが社員を解雇したり、正社員を契約社員に変えたりしなければいけない状況に陥っているのも事実です。しかし一方で、予防、検知、混乱管理、業務効率化の分野の多くのスタートアップは、新型コロナウイルス感染症に対応したアプリケーション開発のために事業のピボット(経営方針の変更)をすることで生き残ろうとしています。”
そこで今回は、どの企業も少なからず新型コロナウイルス感染症の影響を被っている中、経営者が俊敏に対応したため、好調な業績を残しているスタートアップ4社を紹介していきます。
航空券の払い戻しや予約変更を自動化 イスラエルのRubiQ
RubiQはイスラエルのテルアビブを拠点とするスタートアップで、フライトがキャンセルになった際、払い戻し対応やその他の問合せの対応に追われる航空会社コールセンターの負担を減らすツールを開発しました。
(出典 : RubiQ)
RubiQは、独自開発のAIを搭載した、モバイルソリューションAirculesによって乗客の予約変更や払い戻しのプロセスを自動化しました。これによって、顧客は問合せ先航空会社の電話口や空港カウンターで長時間待たされてストレスを感じることもなくなります。また、航空会社は顧客体験の向上が期待できます。
多言語24時間対応のチャットボット開発 日本のBespoke
日本のスタートアップであるBespokeは、利用者が設定した言語で24時間対応してくれるAIチャットボット”Bebot”を開発しました。現在Bebotは、日本政府が複数の言語で日本への旅行者や日本語の話せない日本の居住者とコミュニケーションを取る際の架け橋になっています。
Bebotを使用すると、日本人の居住者や旅行者はチャットボットに自分の健康状態やウイルス対策について多様な言語で質問をすることができます。アプリのダウンロードは不要で、スマートフォンと接続環境だけあれば、ブラウザですぐにチャットが可能な点も高く評価されています。
コンピュータビジョン技術搭載の赤外線カメラ開発 中国のFace++
Face++は顔認識の技術を開発する中国のスタートアップで、中国の空港や地下鉄の駅構内に赤外線カメラをコンピュータビジョン技術を使って迅速に配備し、発熱者を検出して追跡することを可能にしました。
これにより、スタッフは新型コロナウイルス感染症に罹患している可能性のある人の身体に触れることなく、すべての体温検査を完了させることができ、さらなる感染を防ぐことができます。
旅行者のリスク管理を行う カナダのSitata
Sitataは、旅行者のリスク管理に取り組んでいるカナダのスタートアップです。 彼らの開発したアプリは、旅行者にデモ、感染症、フライトのキャンセル、イベント中止などの旅行が計画通りに進まなくなってしまうリスクのある情報をいち早く通知してくれます。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、航空会社は様々な旅行先でのリスクに関する問い合わせを受けており、Sitataなどのスタートアップは旅行者のリスク管理サービスの開発というアプローチで、航空会社をサポートできると考えています。
さいごに
新型コロナウイルス感染症の拡大により大きなダメージを被っている世界の観光業界ですが、各国には、経営者の柔軟な判断によって状況に合ったサービスを展開しているスタートアップも存在すること、お分かりいただけたでしょうか?
そして、この記事でコロナテックシリーズで紹介したスタートアップは合計24社に。まだ半分以上ご紹介できていないスタートアップがあります!
Plug and Play Japan Magazineではこれからも新型コロナウイルス感染症の拡大によって注目されているスタートアップを紹介していきますので、ぜひフォローしてお待ちください!