puppet master 傀儡師 第三話 ブルーワーカー医師の疑問
医師の喜一郎は静岡市民病院の医師を退職して、鳥取県の山奥の親戚の病院を継いで、日々、診療と往診に追われている。
静岡市民病院の時は、ウイルス対策調査チームとして、厚労省の研究班と共同で変異ウイルスの統計調査に励んでいた。
田舎での仕事は多種多様であり、色々な専門医の講習会に参加して専門を増やしておかなければならない。
大学では、胃カメラの専門だったが、静岡市民病院では、ウイルス専門として研究を続けていた。
そこへコロナウイルスの変異株騒動となり、厚労省から協力を求められた。
変異株はこれまで、弱体化しながら変異してきたが、最近、発見された株は毒性を強めて出たり、感染力が強くなる事があり、原因究明が課題となっている。
自然界での常識が通用しないウイルスの出現に、ふと、何らかの力が働いていないか気になった事がある。
しかし、医師とは最上級の労働者であり、奉仕の心が無ければ成り立たない。
金儲けが主目的であれば、地方の中堅都市で開業して、医院と家を離して建築し、夜間診療をしなくてもいい条件にすれば、楽だった。
医師法で、夜間でも診療する事が義務化されているからである。
大変な病気は大病院への紹介状でやらなくても済むし、辺境の地のように午前だけで百人以上の人を診なくてもいい。
喜一郎が医師になったのは、国立大学病院の第一内科教授を勤めていた、亡くなった祖父の影響が大きい。
新しい治療法を開発し、特許を取らずに世界に公開して普及させた
功績があり、勲章を授与された。
祖父から、人の為に生きる事を学び、少ない人生を捧げる覚悟で一浪して医学部に入った。
最近、多くの患者がウイルス感染が判明するが、強烈な喉の痛みで亡くなる人が続出している。
これまでに無い変異の仕方だと思える。
何かが違う。
研究者であれば、機器を自由に使って調べられるが、町医者では、そうはいかない。
静岡市民病院時代の友人にメールした。
「萌子さんご無沙汰です。夜勤ですか?実はウイルスの事で気になる事があって連絡しました。web会話可能な時間があればご連絡ください。喜一郎」
次の日返信があった。
「ご無沙汰!キーちゃん。厚労省の研究班との会議が長引いてごめんなさい。午後10時だったらゆっくり話せるわ。萌」
厚労省の研究班では、ウイルス変異株の突然変異について議論されていた。
自然界の現象なのか?意図的に変異させられたものか?結論は、自然界の突然変異に入るとの事となった。
研究班には、各分野の専門家が集められており、その中には、イーザ社のケチロウも名を連ねていた。
共通認識として、メッセンジャーRNAについて学ぼう。
コロナワクチンでよく聞くようになったメッセンジャーRNAとは何かを調べてみる。
ウイルスのRNAの塩基一つが変化しただけでも変異株となるが、トゲトゲ部分だけが変異したりしする。メッセンジャーと言われるトゲトゲ部分だけを注射して、免疫を確保すれば、ウイルスを体に入れないでも抵抗力が得られる。
ウイルスが生物が生み出した一部だとすれば、感染そのものは自然の事で、パンデミックも人類全員に免疫をコピーするために、なるべくしてなった結果と考えられる。
他人に遺伝情報をコピーする能力こそウイルスの存在意義だと思う。
メッセンジャーRNAは、本来の免疫とは違う可能性があり、将来の遺伝子異常も可能性がある。