あれから10年、原発をめぐる世論は
10年前の福島第一原発事故がどれほどの衝撃を社会にもたらしたか。その一面を次のグラフに見ることができます。これは様々な世論調査をもとにして、「原発を今後どうすべきか」という質問の結果を平均したものです。
内閣支持率や政党支持率とは違い、個別の問題に関する質問ではそれぞれの世論調査で選択肢が異なることが少なくありません。そこで、それらを統一的に評価するため、ここではやや乱暴な操作であることを承知のうえで、選択肢を「増設・推進」「維持」「削減・全廃」「その他・無回答」の4つにまとめました。
グラフからは2011年の激変がくっきりと読み取れます。このとき高まった「削減・全廃」は10年後の今も非常な高水準にあり、ゆるぎないものとなったと言ってよさそうです。
それにしてもチェルノブイリ原発事故や東海村臨界事故を経てもなお、福島第一原発事故の直前まで「増設・推進」が主流だったことには驚かされます。それは今では見る影もなくなりました。
しかしこうした背景にもかかわらず、震災から10年を前にして、経団連は原発の増設や運転期間の延長を明記した提言を行っています。
世論は変わったのに、今もなお多くの変えられるべきものが変えられないまま残り続けています。昨年から日本で広がった新型コロナウイルスもまた、原発問題と同じような国民や住民軽視の姿勢、不合理を合理化しようとする詭弁などを浮き彫りにしてきました。
歪んだ社会は今も歪み続けています。科学技術が誤った政治に使役されて泣いています。そしてなにしろ、こうした現実を変えられないでいる国民自身が、まだ変わっていません。
ぼくたちは今もあの事故の世界を生きています。
2021.03.10 三春充希
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note: みらい選挙プロジェクト情勢分析ノート