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四苦八苦と束の間の休息

「四苦八苦」は仏教用語。人生は辛いことばかり、というニュアンスはネガティブに感じられて好きでは無かった。

だけど、最近では、むしろこの言葉に救われている。

生きていれば、思わず胃を痛めてしまうような辛いことがたくさんある。それをポジティブに考えようとしても、無理があることも多い。

「ポジティブに考える」ことが能力化されてしまうと、辛いことが起こった時に「辛い」と感じる自分が「能力不足」だということになってしまう。

決してそんなことはない。辛いことは辛いし、苦しいことは苦しい。

そんな本音(リアル)に対して、仏教は「四苦八苦」という言葉で許容している。「そりゃ人生辛いことばっかりだもん、そりゃ当たり前だよね」といったように。

そして、そういった前提で考えると、辛くない時は「束の間の休息」となる。貴重だから、大切に過ごそう、という気持ちになる。当たり前だなんて思わなくなる。

おそらく、世間で流行っているような自己啓発は、アメリカ型だ。キリスト教の影響を受けいているから、どんなに辛いことも「神様が決めたこと」であって、「天国に行って神様からの寵愛を受ける」という目的が前提にある。

しかし、キリスト教信者ではない者にとっては、あまり腹落ちする考え方ではない。特に現実主義者にとっては、ただの思い込みに過ぎない、と思ってしまう。そして、そういう考え方は「ネガティブ」、つまり「ポジティブという能力の欠落」というマイナスな評価をされるのが、今の日本社会だ。

かといって、辛いことに嘆いていてばかりでは、不眠症などを誘発し、精神疾患を罹患してしまうリスクが増大する。

そこで、簿記の考え方をすると、とても具合が良いことに気がついた。

四苦八苦は、コスト。まずはいらないコスト、削れるコストは削る。それでも削れないコストがある。自分の力では変えられない物事はそれにあたる。どんなポジティブ思考でも覆せない四苦八苦は存在する。

そして、利益を創出する。つまり、「束の間の休息」を有効活用する。楽しいことをする。しかし、それだけでは、いずれ退屈になる。だから、「将来的に楽しくなるための努力」をする。これには、イマジネーションが必要。つまり、ニヤニヤすること。楽しみな旅行は、前日の準備から楽しい。それは、楽しい旅行を思い浮かべるから。人間には、そんな想像力が誰にも備わっている。

これは簿記でいうと、四苦八苦は「売上原価」で、売上は「売掛金」なのかもしれない。その差分が利益。「売掛金」は売上債権のこと、つまり将来的に受け取ることができる金銭のこと。今手元にはなくても、それをイマジネーションで補う。そうすれば、今苦しいだけの努力も、目的が達成された時の成果を想像して嬉しくなって、それが精神的には「売掛金」と同じように売上となる。つまり、その分、幸せな気持ちを前払いしてもらうことができる。

もしそんなイマジネーションのことを「ポジティブ」スキルと呼ぶのであれば、確かにそんな力があれば、とてもいいと思う。

だけど、どうしようもない、全く利益の出ないコストについても、「利益が出ていると思い込もう!」なんていう妄想が「ポジティブ」スキルなのだとしたら、それは、やがて破綻する。そんな会社があったら潰れるか買収されるに決まっている。

時には、銀行からの借入も必要だったりする。他人からの幸せを借りたり、もらったりする事もある。だけどそれに依存していても、資産は増えない。利息が高いと、経営状況も悪化する。

そんな感じで、最近考えていたことを取り止めもなく書いた。なんとなく、道筋が見えてきた気もする。

そんな夏でした。


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