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6. 日本のSDGsを考える

はじめに


皆さん、こんにちは!
ミライノラボ学生研究員の広瀬です。
今回から、前回投稿した三菱地所住宅加工センター様と行う SDGs 研修に向けて学んだことをシェアしていきます!
SDGs については以前の記事でシェアしていますので、是非ご覧下さい。

SDGs の達成基準とは?

SDGs は 17 の目標以外に、169 のターゲットと、232 の指標から成り立っています。SDGsの達成にあたり重要だと考えられるのは、この目標が測定可能であるということです。
では、目標 13 の「気候変動に具体的な対策を」を例にとって外務省のサイトを基にみていきます。[1]

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目標 13 のターゲットの中に、13.2「気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。」があり、グローバル指標 13.2.2 としてそれぞれの国の「年間温室効果ガス総排出量」が定められています。
環境省などからの提供データを基に、外務省が発表している数値によってどのくらい温室効果ガスを排出しているかを確認することができます。[1]


ここから日本の温室効果ガスの排出量は、2010 年には 1,304,960(kt-CO2)であったのに対し 2018 年には 1,240,406(kt-CO2) 64,554(kt-CO2)減少したことが分かります。1t は水が入った 2L の水が入ったペットボトル 500 本分なので、重さにして減少量約60,000kt は 2L のペットボトル 3000 億本分が減少したことになります。

このように、SDGs において目標がテーマを、ターゲットが手法を、指標がその結果を表しているといえますね。


重さにして 2L のペットボトル 300 億本分の温室効果ガスを減らしたと聞くと、かなりの量のように感じられます。しかし、ここで重要なのはこの排出量が気候変動の対策として十分な量か否かです。


ということで、その排出量で SDGs の 13 番目の目標「気候変動に具体的な対策を」を達成できているといえるのか、早速、調べていきたいと思います。


日本の達成状況

NGO の「持続可能なソリューション・ネットワーク(SDSN)とドイツの「ベルテルスマン財団」が共同で発表している各国の SDGs 達成状況を分析したレポート「SDG Index and Dashboards Report 2020」[2]を見ます。


全体評価のランキング(SDG Index 2020)では日本は 17位だと分かります。166 カ国の中では上位約 10%に位置していることから取り組みが進んでいるということもできます。しかし、G7 でみるとドイツ、フランス、イギリスに続く4番目で 7 か国のうち中間に位置しています。
また、日本における 17 の目標の達成状況をみると、達成(SDG achieved)を示す緑が 3 つのみで主要課題(Major challenges)を示す赤 5 つを数では下回っていることが分かります。

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それでは、本題の
SDGs の 指標 13.2.2 「年間温室効果ガス総排出量」から13 番目の目標「気候変動に具体的な対策を」を達成できているといえるのかをみていきましょう。


ただ、「SDG Index and Dashboards Report 2020」では一人当たりエネルギー起源 CO2 排出量(燃料・電力の消費に使う分)を達成状況の判断材料にしていてSDGsの指標と異なります。一方で、エネルギー起源 CO2 排出量は温室効果ガス排出量の 84.9%[3]を占めており、エネルギー起源 CO2 排出量は温室効果ガス排出量にかなりの影響を与えているといえます。


よって、一人当たりエネルギー起源 CO2 排出量の観点から SDGs の指標である 15. 「年間温室効果ガス総排出量」の減少を達成できているか見ていきたいと思います。


以下が、達成段階を区別した表です。一番上が最も望ましい状態です。(SDG Index and Dashboards Report 2020 より筆者作成)

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日本は 2017 年一人当たりエネルギー起源 CO2 排出量が 8.8 で残課題と主要課題を分ける4 を上回っています。
G7 の国の状況をみてみるとフランスが 4.8、ドイツが 8.7、カナダが 14.4、イタリアが 5.4、アメリカが 15.3、イギリスが 5.5 です。
7 カ国とも達成には至っておらず、ここからも CO2 排出量の削減は世界全体で取り組むべき課題であることが分かりました。


SDGs をどう使っていけるのか?


三菱地所住宅加工センター様の事業と関係するところとして、輸送の際に出る排気ガスがあると思いました。輸送回数を減らしたり、効率の良い道順を計画したりと温室効果ガスを減らすための手段は実行されている企業が多いと思いますが、SDGs の指標まで学ぶと以下のように説明することができます。
今回学んだことを活かすと、輸送時の排気ガスの削減は、SDGs の目標 13 の達成のためターゲット「気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。」、指標「年間温室効果ガス総排出量」に貢献するための取り組みとして説明することができます。


より環境について考えられていることが私達に伝わってきますね。また、事業者の方が社会に貢献できているという感触も得られそうですね。


おわりに


今回は、SDGs においてどのように達成状況が判断されているのか、どのくらい日本が達成できているかについてその一部を見ていきました。以前、私は気候変動といえどもテーマが大きくどうすれば課題が解決されるのか分かりにくいところがありました。今回は、その悩みが解決された回になったと思います。街中で SDGs のロゴをみたらどのターゲット・指標に当てはまっているのか考えるとまた違った見方ができるかもしれません。


次回からは、早速木材の原料を調達する場、森林について考えていきたいと思います。新たなメンバーが出てきますのでお楽しみに!


[1] JAPAN SDGs Action Platform, グローバル指標(Sustainable Development Goal
indicators), 外務省, (最終閲覧日 2021/6/15)

[2]  Sustainable Development Report. 2020. Cambridge: Cambridge University Press.(最終閲覧日 2021/6/15)

https://s3.amazonaws.com/sustainabledevelopment.report/2020/2020_sustainable_development_report.pdf

追記 最新のSDGsレポートが出されました(Sustainable Development Report2021)(最終閲覧日 2021/6/15)

https://s3.amazonaws.com/sustainabledevelopment.report/2021/2021-sustainable-development-report.pdf


[3] 2019 年度(令和元年度)温室効果ガス排出量 確報値(2021 年 4 月発表) 概要, 環境
省, (最終閲覧日 2021/6/15)


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