仕立て技術で植物の生長をコントロールする!② (農業)
こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。今回は「仕立て技術で植物の生長をコントロールする!」の後編です。トマトなど果菜類は栄養生長・生殖生長を繰り返しながら成長します。ここが葉菜類と大きく違うところで、栄養生長に傾きすぎてもダメ、生殖生長に傾きすぎてもダメで両者を成長に応じてコントロールすることが大事です。そのコントロール方法は栽培環境(温度・湿度・CO2・光量)を調整することや、栽培の仕立て方法でコントロールすることができます。
〇ミニトマトや中玉トマトの品種 は放任でも収穫しやすい
トマトは もともと自立できない植物です。野生のトマトは地面を這い、横に広がりながら、果実をつけ、また 茎・葉を茂らせるというプロセスを繰り返して生きています。このような野生種の性質を色濃く残すミニトマトや中玉トマトの品種は放任しても 比較的着果しやすく、たやすく果実を収穫できます。
一方、大玉トマトは大きな果実を大量に収穫することを目的に人の手で改良を続けてきた野菜です。自然任せでは大玉らしい大きな果実を収穫できません。人間があれこれ手を貸すことで初めて満足のいく収穫が可能になります。 大玉トマトも誘引しなければ横に倒れますがあえて直立させるのは旺盛な 茎・葉の生長にストップをかけるためです。これがストレスになって 花芽をつけ 結実を促す生殖生長へのスイッチが入りやすくなります。
〇生育が一方に傾くと収穫できない
トマトは茎・葉を伸ばしながら、順次、開花・結実する野菜です。茎・葉を伸ばさなければ次の果実がつきません。しかし、茎・葉の生長と開花・結実、果実の肥大は養分を取り合う競合関係にあり、茎・葉の伸長が強くなりすぎると着果せず、果実が強くつきすぎれば、株が弱ってきます。
ほとんどの果菜類でも事情は同じですが、とりわけ、トマトは 吸肥力が強い上に、花をつけるまでに葉3枚が必要なので過繁茂しやすいです。 その一方で過熟果を収穫するので、他の果菜類以上に両者のバランスを取る必要があります。そこで 芽かきで栄養分が茎・葉の生長に集中することを防いで、開花や果実の肥大にも栄養分回し、摘果で果実の充実に使われる栄養分の量を減らし、茎・葉 の生長に充てます。
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